ファームで5勝
「ひとつでもチームの勝ちに貢献できるようにやっていきたい」
後半戦に向け、こう意気込みを語ってくれていたロッテのドラフト6位ルーキー・古谷拓郎は、先発した16日のDeNAとの二軍戦で5回を1失点に抑え、今季5勝目を挙げた。
近年のロッテの高卒新人は、1年目は基本的に体づくりを中心に行い、夏場以降に二軍戦デビューを飾り、10月のフェニックスリーグで実戦経験を積むケースが多い。そんな中、古谷は二軍戦に9試合に登板して、5勝2敗、防御率4.34の成績を残している。
修正能力が高い
実戦を経験することで、課題も見つかった。プロ初勝利を挙げた5月11日のヤクルト戦以来、2カ月ぶりのリリーフ登板となった7月15日の西武戦は1イニングを投げて5失点と、プロ入り後自身ワーストの失点を喫した。
古谷は「あの試合は、2ストライクから甘く入ったりとか、追い込んでから打たれる場面が多かった。一塁ランナーを背負ってからテンポが一緒で、ランナーも走りやすい状況を作ってしまった。自分の悪いところが全て出た」と反省。
悪かった部分に目をそらすことなく、「あのピッチングが自分のなかでは一番悪かったと思うので、逆にそこをしっかりとプラスに捉えて、あの試合を振り返っていくようにしています」と同じミス繰り返さないように試行錯誤できるのが古谷だ。
自身の投球についても「自分は球速を出しにいくタイプではないのに、スピードを意識してしまった部分がありました。それで、コースが甘くなったりとか、出しにいった割にスピードも変わらなかった。力んで投げても速くならないということが確認できた。スピードを出しにいったところで、バッターも僕のボールで驚いたりしないこともわかりましたね」と再確認。
続く7月23日のDeNA(横須賀)との二軍戦では、その反省を活かし3回を1安打、4奪三振、無失点に抑える好リリーフを見せた。
「横須賀の試合とかもスピードを意識しないで、2ストライクからのコントロールを意識することで3イニング無失点だった。そういうところは西武戦から得たこともあるので、よかったと思います」と次の登板で課題点をしっかりと修正して見せた。
先輩から学ぶ
自身を客観的に見て分析し、課題を克服して日々成長している古谷。技術力を上げるために、先輩たちの練習から見て学んだり、自分から積極的に話を聞きにいったりしている。
今季開幕投手を務めた石川歩がファームで調整しているときには、「どういうトレーニングをしているんですかと聞いて、マンツーマンで教えてもらいました。少しだけですけど、股関節周りのトレーニング。フォームのときにどういうことを意識しているか知れただけでも、なかなか一軍の選手がここにいる機会はないので、聞けたのはよかったです」と目を輝かせながら教えてくれた。
現在、二軍には調整中の涌井秀章もおり、「そこまで話ができていないです」と話したが、「涌井さんはコースを突いたりとか、バッターの間合いとかを意識していると自分は見ていて感じます。(涌井さんが)ファームにいる間にしっかりと吸収したい」と貪欲な姿勢を見せた。
ロッテはチームトップの6勝を挙げる二木康太、種市篤暉をはじめ、岩下大輝、佐々木千隼、小島和哉、土肥星也といった若い先発陣が多い。そこに近い将来、古谷も加わることになるだろう。今はファームで体力づくり、実戦を経験して将来、一軍で戦える力を作っていく。
取材・文=岩下雄太