第101回高校野球選手権大会
星稜 4 - 1 智弁和歌山<3回戦 8月17日>
大会No.1投手の呼び声高い星稜(石川)の奥川恭伸(3年)が延長14回を投げ切って被安打3、23奪三振という圧巻の投球で智弁和歌山打線を1得点に封じてベスト8進出を決めた。
今大会屈指の強力打線を有する智弁和歌山(和歌山)を相手に、星稜の奥川が序盤から好投。今大会で記録した自己最速154キロを計測し、6者連続三振を奪うなど、智弁和歌山打線を寄せ付けない。
その星稜は4回、2本のヒットと送りバントで一死一三塁とし、9番・山瀬の犠飛で先制。先制点をもらった奥川は、5回一死後に内野安打(5回)で初安打を許すも、後続を連続三振に斬ってとり、反撃のチャンスを与えなかった。
それでも智弁和歌山は6回表、一死後に相手守備の失策で走者を出すと、遊ゴロ併殺かと思われた打球の処理を星稜の遊撃手・内山が焦ってしまい、二死二塁に。続く2番・細川が死球で出塁し、二死ながら一二塁としたところで、流れると得点が生まれる“魔曲”としてお馴染みの応援歌「ジョックロック」が鳴り響く。ここで打席に入った3番・西川がライト前にヒットを放ち、智弁和歌山が同点に追いついた。
それでも動じない奥川は4番・徳丸を見逃しの三振に仕留めてピンチを切り抜けると、7回、8回は三者凡退に。9回には先頭打者にヒットを打たれるも、走者を送らない智弁和歌山打線をしっかりと抑え、延長に入っても衰えることのない球威で圧倒。12回にこの試合はじめての四球を与えたが、それ以外に走者を許さず、智弁和歌山の中川監督に「チャンスらしいチャンスを作れなかった、奥川君が素晴らしかった」と言わしめた。
対する智弁和歌山も、小林(3.2回)、矢田(1.1回)の継投で序盤を最少失点で切り抜けると、6回からは“エース”の池田がマウンドへ。バックの好守にも助けられながら、連打を許すことなく星稜打線を無得点に抑えていた。
すると試合は延長12回を終えても1-1のままスコアが動かず、令和初のタイブレークに突入。延長13回からは無死一二塁でスタートするも、両守備陣が送りバントを許さず、得点は生まれない。延長14回表も奥川が好フィールディングを見せるなど好投。その裏は先頭の奥川が送りバントを失敗したが、続く6番・福本が甘く入ったスライダーを左中間スタンドへ運び、星稜がサヨナラ勝ちを収めた。
試合後、「絶対に最後まで一人で投げ切ろうと思った」と振り返った星稜の先発・奥川は、ふくらはぎがつりそうになりながらも14回を投げ切って165球、1失点という内容。自らが「これまでの出来の中で断トツだった」と語ったストレートに、しっかりと制球された変化球を織り交ぜ、強打の智弁和歌山打線を牛耳った。
熱戦を制した星稜は、24年ぶりのベスト8進出。準々決勝はあす18日に4試合が行われ、星稜は第3試合に登場する。