西武勢による打撃タイトル独占
8月も半ばを過ぎ、順位争いが激しくなってきた。特にパ・リーグは、ソフトバンクが一歩抜け出してはいるものの、2位・西武から6位・オリックスまでの5チームが5ゲーム差にひしめく混戦模様。残り試合が30試合ほどとなっても、どのチームにもAクラスとBクラスの可能性が残されている、文字通りの“サバイバル”が続いている。
その熾烈な順位争いが続くなか、パ・リーグの打撃タイトル争いでは、史上2例目の偉業達成の可能性がでてきた。それは、同一チームの異なる3選手による打撃タイトル(最多本塁打、最多打点、首位打者)の独占だ。
もし達成されたとすると、プロ野球の長い歴史の中では、2015年のヤクルト(首位打者:川端慎吾、最多本塁打:山田哲人、最多打点:畠山和洋)以来のことになる。そんなレアな記録を達成する可能性を残しているのが、西武の選手たちだ。
8月18日終了時点で首位打者は森友哉(西武/打率.333)、最多本塁打と最多打点が山川穂高(西武/35本・95打点)と西武打線が独占。現時点では、本塁打と打点は山川が二冠となっており、異なる3選手にはなっていない。しかし、打点ランキングの2位につけているのが、8月に入ってから再び「4番」を担うなど、打率.419と打撃好調な中村剛也だ。
チャンスに強いぞ中村剛也
中村剛也は現在22本塁打ながら、勝負強い打撃で6月以降は打点を量産。現時点では91打点を記録しており、山川との差は「4」となっている。その山川は、打撃不振もあって8月11日以降は打順を「7番」に下げるなど、苦しい状況が続いている。
チームにとっては両選手ともに好調なのがベスト。指揮官にとっても痛しかゆしといったところだろう。この打順もいつまで継続されるかはわからないが、打順変更によって必然的に中村の打席機会は増え、打点を稼ぐチャンスも多くなる。今季の中村は、得点圏打率もリーグトップの「.375」と、ここぞの場面で打つ姿が頼もしい。
投手陣が厳しい状況に置かれているチーム事情を鑑みても、ここから西武がラストスパートをかけるには、中村と山川による熾烈な打点王争いが必要不可欠なことは間違いないだろう。昨季の浅村と山川が熾烈な打点王争いを繰り広げ、チームを押し上げたように、ふたりにかかる期待は大きい。
異なる5選手で独占も?!
今後の動向次第にはなるが、つまり、森(首位打者)、山川(最多本塁打)、中村(最多打点)と、同一球団の異なる3人でタイトルを分かち合う可能性があるということだ。
また、今年に限っては、現時点の「最多盗塁」が金子侑司(33盗塁)、「最多安打」が秋山翔吾(140安打)と、5つの打撃タイトルを異なる5選手で受賞という可能性もなくはない。ちなみに、残る打撃タイトルの1つ、「最高出塁率」のトップは吉田正尚(オリックス)で「.422」。2位には森友哉が「.421」でつけている。
なお、主要3部門をヤクルトが異なる3選手で独占した2015年は、「首位打者」川端慎吾、「最多本塁打」山田哲人、「最多打点」畠山和洋、「最多盗塁」山田哲人、「最多安打」川端慎吾、「最高出塁率」山田哲人だった。
現在、チームは上位争いの真っ只中。各々がチームの勝利に向けて最善を尽くしテイク中で、各個人のタイトル獲得にもつながれば、これ以上のことはない。史上2例目の異なる3選手による打撃3部門、いや打撃5部門のタイトル独占にも注目していきたい。
打撃6タイトルのトップ3
▼ 首位打者
打率.333:森 友哉(西武)
打率.325:吉田正尚(オリックス)
打率.310:荻野貴司(ロッテ)
▼ 最多本塁打
35本:山川穂高(西武)
31本:レアード(ロッテ)
30本:デスパイネ(ソフトバンク)
▼ 最多打点
95打点:山川穂高(西武)
91打点:中村剛也(西武)
76打点:外崎修汰(西武)
76打点:レアード(ロッテ)
▼ 最多盗塁
33盗塁:金子侑司(西武)
27盗塁:福田周平(オリックス)
25盗塁:荻野貴司(ロッテ)
25盗塁:源田壮亮(西武)
▼ 最多安打
140安打:秋山翔吾(西武)
135安打:茂木栄五郎(楽天)
132安打:吉田正尚(オリックス)
▼ 最高出塁率
出塁率.422:吉田正尚(オリックス)
出塁率.421:森 友哉(西武)
出塁率.419:近藤健介(日本ハム)
※数字は2019年8月18日終了時点