後半戦は抜群の安定感
ロッテのオールスター明けのチーム先発防御率は、リーグトップの3.61をマークする。その中でも、毎試合安定した投球を披露しているのが3年目の種市篤暉だ。
「中6日で回れることに、自信を持てています」。種市はオールスター明け5試合に先発し、30イニングを投げて、2勝1敗、防御率2.40。ここ3試合はクオリティ・スタート(6回3自責点以内)をクリアしている。
前回登板のオリックス戦は6回を投げて今季ワーストの6与四死球だったが、許した失点は3回の2点のみ。4回以降は毎イニング得点圏に走者を背負いながらも、粘りのピッチングで無失点に抑えた。
「得点圏にランナーがいっても、ランナーを返さないという気持ちで投げています。試合を崩さないようにしたいと思います」。
オールスター前は得点圏での被打率が.275(51-14)だったが、オールスター明けは得点圏での被打率は.188(32-6)と改善されている。数字が示すように得点圏の場面で、しっかりと抑えられていることが好結果に繋がっているといえるだろう。
走者を出してから失点しないコツについて種市は「思いっきりギアを上げるだけです」と話す。種市が先発する試合に現在4戦連続でバッテリーを組む柿沼友哉捕手は「ランナーがいるときは、集中力があがり投げミスが少なくなる。集中している分、低めにしっかり投げ切れたりというのは感じますね」と走者がいる場面での投球について語った。
種市は春先から常々「もっと楽して投げたい」と口にしている。「楽して投げたいというのは、いつも全力というかテイクバックの時に力が入りすぎてしまう。吉井さんにもすごい言われていて、直さないといけないと思っている。だからイニングがもたないんじゃないかなと自分の中でも思うので、リリース、トップを作ったときに、力を入れる感じじゃないとテイクバックの時点で力を入れているとバテる。リリース前に力を入れられるように練習しています」と5月に取材したときに話していた。
楽して投げることができているから、“ギア”をあげることができているのかと問うと、種市は「そうですね。今はそんなバチバチ全力でいく感覚では投げていないですね」と教えてくれた。
常に進化を続ける男
種市は「毎回反省はしているつもりですけど、成長できているかもしれないですね」と謙虚に話すが、得点圏での被打率が後半戦に入って改善されたように、この3年でとんでもない速度で成長しているように見える。
それはいろんな人から話を聞き吸収しようとする探究心、人から聞いて学ぶだけでなくそれをどのように活かしていくかを考えることのできる思考力、現状に満足することなく常に上を目指す向上心の高さがあるからだろう。
シーズンは残り30試合を切った。「100イニングはいかないといけないなと思うし、シーズン中盤一軍を外れたりして、迷惑をかけたりした。そこは1イニングでも多く投げられればと思います」。
チームは勝利したが24日のソフトバンク戦に先発した二木康太は2回でマウンドを降りたこともあり、リリーフ陣を多く投入した。リリーフ陣を休ませるという意味でも、種市に長いイニングを投げて欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太