日米通算の最多は野茂の「3122」
カブスのダルビッシュ有は現地時間27日(日本時間28日)、敵地で行われたメッツ戦に先発登板。8回1失点の好投で今季5勝目を挙げた。
また、この試合の6回にはひとつの大記録が誕生する。二死一塁の場面でJ.D.デービスから空振り三振を奪ったダルビッシュは、この日4つめの三振で日米通算2500奪三振に到達。野茂英雄、石井一久に次ぐ史上3人目の偉業を成し遂げた。
日本では3度にわたって最多奪三振のタイトルを獲得するなど、凄まじいペースで三振の山を築いてきた右腕。メジャーでも渡米2年目の2013年にリーグトップの277奪三振をマークしており、海の向こうでも安定した三振奪取力を発揮。故障との戦いもあってその数を思うように伸ばすことができない年もあったが、今季はここまで183奪三振と2年ぶりのシーズン200奪三振も手が届くところに来ている。
日米通算の記録で言えば、奪三振の歴代最多記録は野茂英雄の3122個。まだ33歳という年齢で今年の活躍ぶりを考えれば、記録更新への期待も高まってくる。
ちなみに、NPBの歴代最高となると、金田正一氏が残した4490個という前人未踏の大記録がある。ダルビッシュはどこまで迫ることができるか、今後の楽しみとしたい。
▼ 歴代最高記録【奪三振】
4490 金田正一(1950~1969)
└ 投球回数5526.2
3388 米田哲也(1956~1977)
└ 投球回数5130.0
3159 小山正明(1953~1973)
└ 投球回数4899.0
3061 鈴木啓示(1966~1985)
└ 投球回数4600.1
2987 江夏 豊(1967~1984)
└ 投球回数3196.0
2945 梶本隆夫(1954~1973)
└ 投球回数4208.0
2859 工藤公康(1982~2010)
└ 投球回数3336.2
2574 稲尾和久(1956~1969)
└ 投球回数3599.0
☆日米通算
3122 野茂英雄(日:1990~1994/米:1995~2008)
└ 投球回数3027.2
・奪三振=日:1204 + 米:1918
・投球回数=日:1051.1 + 米:1976.1
2550 石井一久(日:1992~2001/米:2002~2005/日:2006~2013)
└ 投球回数2717.1
・奪三振=日:2115 + 米:435
・投球回数=日:2153.1 + 米:564.0
2503 ダルビッシュ有(日:2005~2011/米:2012~)
└ 投球回数2293.0
・奪三振=日:1250 + 米:1253
・投球回数=日:1268.1 + 米:1024.2
“奪三振率”で見ると驚異的!
“数”で比較してしまうと、さすがに4000超えという想像もつかない数字に圧倒されてしまいがちだが、金田氏の奪三振数は5526回と2/3を投げて記録されたもの。仮にダルビッシュがあと3000イニング投げることができれば、「4490」という数字は確実に超えてくることが予想できる。
ここでチェックしておきたいのが“奪三振率”という指標だ。「投手が1試合(=9回)を完投した時の平均の奪三振数」を示す数字で、「奪三振数×9/投球回」で導き出すことができる。いわば投手の奪三振力を表すもので、歴代の通算2500奪三振達成者の奪三振率を調べてみると以下のようになった。
▼ 通算2500奪三振達成者・“奪三振率”ランキング
9.82 ダルビッシュ有
9.27 野茂英雄
8.44 石井一久
8.41 江夏 豊
7.70 工藤公康
7.31 金田正一
6.43 稲尾和久
6.29 梶本隆夫
5.98 鈴木啓示
5.94 米田哲也
5.80 小山正明
ご覧のように、ダルビッシュはレジェンドたちを抑えて堂々のトップに。どれだけ凄まじいペースで三振を重ねてきたのかがお分かりいただけるだろう。
当然、これから年齢を重ねるにつれて速球のスピードや球威、変化球のキレといった部分は徐々に衰えが見えてくることも考えられるが、このペースをどこまで維持し、最終的にはいくつの三振を奪うのか。今後もダルビッシュの投球から目が離せない。
文=尾崎直也