ニュース 2019.09.10. 18:00

中日・大野・福田 巨人・DeNAを連続3タテした原動力「88年コンビ」

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【プロ野球中日対DeNA】ヒーロー中日・大野雄大(左)と福田永将(右)=2019年9月8日 ナゴヤドーム 写真提供:産経新聞社
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、9月8日のDeNA戦でチームの6連勝に貢献した同学年の2人、中日・大野雄大投手と福田永将選手にまつわるエピソードを取り上げる。

「つなぐ気持ちで、強引に行かず、コンパクトに行きました」(福田)

「5連勝で来て、自分で負けられないというプレッシャーもありました。何とか(連勝を)つなげられて嬉しいです」(大野)

いよいよ大詰めのペナントレース。セ・リーグは、逃げ切りを図る首位・巨人と、猛追する2位・DeNAが激しい優勝争いを繰り広げていましたが、9月に入って、両チームに思わぬ“壁”が立ちはだかりました。

3日からの巨人3連戦、6日からのDeNA3連戦に全勝。首位と2位を3タテして、6連勝を飾った5位・中日です。8月21日の巨人戦に敗れた時点で、借金が今季(2019年)最大の「13」に膨れ上がった中日ですが、そこから11勝3敗の快進撃。8日現在で借金は「5」に減り、4位・阪神に半ゲーム差、3位・広島に4ゲーム差と迫っています。

10日からは敵地・マツダスタジアムで広島と3連戦。この勢いが続けば、大逆転でクライマックスシリーズ(CS)進出も有り得る状況になり、阪神も含めた3位争いも俄然面白くなって来ました。

中日のチーム打率はリーグトップ(.266)で、打率10傑に4人がランクイン(ビシエド・大島・高橋・阿部、いずれも8日現在)していますが、投打がうまく噛み合わず、また肝心なところで主力に故障が続いたことが下位低迷の原因となりました。

8月下旬から、ようやく歯車が噛み合い始めましたが、打つ方でチームを牽引しているのが、選手会長・福田です。

福田は田中将大(ヤンキース)・前田健太(ドジャース)・坂本勇人(巨人)らを輩出した「黄金世代」の1988年生まれ。横浜高校時代は捕手として1年の夏から甲子園に出場。3年次の2006年には主将として春のセンバツで優勝。高校通算49本塁打の打力も買われ、中日に高校生ドラフト3位で指名されました。

しかし、プロ入り後はなかなか芽が出ず、捕手から内野手に転向するなど苦労を重ねた福田。ようやく才能が開花したのが2017年です。7月にシーズン初本塁打を打つと、夏場にアーチを量産し、自己最多の18本塁打を記録。「フルシーズン出たら、40本打てるのではないか」と、久々の和製大砲の誕生にファンは大きな期待を寄せました。

選手会長に就任した昨年(2018年)は、サードでレギュラーを務め、133試合に出場。プロ12年目で初めて規定打席に到達しましたが、慣れない三塁守備の負担もあり、本塁打は13本止まり。ファンにとっては物足りない数字となりました。

今季は高橋が三塁のポジションに就いたため、開幕は控えに回った福田。途中、2軍落ちも経験しましたが、腐ることなく再び声が掛かる日を待ちました。

7月末に再昇格を果たすと、8月には月間8本塁打を放ち、再びレギュラーの座を奪還。広いナゴヤドームは打者不利と言われますが、飛距離が出る福田の場合、球場の広い狭いは無関係。ナゴヤドームでの本塁打が多いのは「ファンの声援が力になるから」だと言います。

しかもこの6連勝中は、3番打者として全試合でヒットと打点を記録する大活躍。5日の巨人戦では、8回にマシソンから逆転の2点タイムリー二塁打を放ち、8日のDeNA戦でも、ダメ押しの2点タイムリー二塁打で試合を決めました。巨人戦・DeNA戦、いずれも3タテを決めた試合は、福田のバットによるものだったのです。

一方、投げる方では、福田と同じ88年生まれ、前選手会長の大野雄大が活躍。7日に10勝目を挙げた柳と並んで、開幕からローテーションを守り、チームトップの157回2/3を投げて、防御率はリーグ3位の2.74(いずれも8日現在)と抜群の安定感を示しています。

本来なら2ケタ勝っていてもおかしくない成績ですが、打線の援護がなかったり、なかなか勝ち星に恵まれませんでした。しかし8日は、強力DeNA打線を8回まで零封。完封目前の9回、ソトに2ランを打たれ降板しましたが、後を藤嶋が締めて、大野は1ヵ月ぶりの8勝目を挙げました。

この日、大野が特に意識したのは「フォアボールを出さないこと」。ここ2試合、序盤に点を取られていたため、失点につながる無駄な四球を避けようという意識が、11奪三振・無四球という好結果に結びついたのです。

「無四球は意識しました。それが最後に(ソトに)ホームランを打たれた原因です。そこは反省ですね」

9回、1死二塁で、本塁打リーグトップのソトを迎えたシーン。5点リードで歩かせてもいい場面でしたが、あえて「無四球完封」にこだわった大野。もし達成していたら自身4年ぶりの快挙でしたが、勝負したことが裏目に出てしまいました。

しかし、そのこだわりも「勝つこと」を第一に考えてのこと。2013年から3年連続で2ケタ勝利を挙げ、エースを張って来た大野ですが、昨年(2018年)はプロ1年目以来の「シーズン0勝」という屈辱を味わいました。それではチームに居ないのも同然。背水の陣で臨んだ今シーズンは、8日現在で8勝8敗ですが、小笠原、柳、山本、梅津ら若手が多い先発陣の精神的柱になっているのは、紛れもなく兄貴分の大野です。

2012年を最後に、6シーズンCSから遠ざかっている中日。福田と大野は、ポストシーズンに出場経験があるのも強みです。10日からの広島3連戦は、今季0勝7敗と鬼門のマツダスタジアムですが、ここで最後の意地を見せれば「まさか」が起こるかもしれません。

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