2019.09.23 18:00 | ||||
東京ヤクルトスワローズ | 5 | 終了 | 9 | 読売ジャイアンツ |
神宮 |
控えの若手たちが揃ってアピール
2014年シーズン以来、5年ぶりとなるリーグ優勝を決めた巨人が、クライマックスシリーズ(以下、CS)への準備を着々と進めている。優勝を決めた翌日の試合からは主力メンバーを休ませつつ、控えの若手選手を多く起用することで、その力を見極めているようだ。
もちろん、若手選手たちにとってはまたとないチャンス。これを逃さんとばかりに、原辰徳監督をはじめとした首脳陣の目の前で結果を残した。
野手陣では、若林晃弘や増田大輝、そして田中俊太に山本泰寛といった選手たちが、そろって安打を放ちアピール。そのなかでも、若林、増田、山本の3人は、複数の守備位置でプレーし、守りの面でも存在感を発揮した。
一方の投手陣では、鍬原拓也と古川侑利のふたりがチャンスを与えられ、そのなかでも古川が光る投球を披露した。
3回を完全投球で存在感
今年の7月に和田恋とのトレードで楽天からやってきた古川。移籍後初先発となった7月24日のヤクルト戦では、1回4失点と新天地でのスタートは芳しくなかった。以降は、一軍から呼ばれることもなく、ファームで汗を流すことになる。
ようやく声がかかったのは、優勝を決めた翌日の9月22日。その翌日となる9月23日のヤクルト戦で、中継ぎとして2カ月ぶりの一軍登板を果たすと、前回の登板でノックアウトされたヤクルト打線に対し、3回無安打無失点5奪三振と完璧な投球を披露した。さらに移籍後初勝利もマークし、CSのベンチ入りへ向け、大きなアピールをした。
この古川の好投は、巨人にとってこの上なく大きい。短期決戦においては、中継ぎ起用で長いイニングを投げることのできる投手の重要度がシーズン中より高くなる。ファイナルステージは最大6戦の短期決戦。投手の起用法が勝敗を大きく左右するため、様々な継投が考えられる。
第2先発としても重宝?!
近年はMLBを含め先発投手を早めに降板させ、第2先発を投入し、ふたりで試合をつくっていく戦術が多く取られるようになった。昨年のソフトバンクも、シーズン中は先発起用の多かった石川柊太や大竹耕太郎、武田翔太らを中継ぎとして投入。早めの継投で相手打線を封じ込め、日本一を勝ち取っている。
巨人の先発投手陣を見ると、菅野智之、山口俊、メルセデス、桜井俊貴、高橋優貴、さらには優勝を決めた試合に先発した戸郷翔征と、その枚数は揃っている。しかし、エースの菅野も腰の不安があり万全ではなく、山口を除くと長いイニングを投げさせることには不安が残る投手は多い。
全試合ではないにせよ、試合展開や先発投手によっては、短いイニングを全力で投げさせ、第2先発へとスイッチする戦術を採用してもおかしくはない。古川や田口麗斗がその役割を担うことができれば、戦い方の幅は大きく広がっていくだろう。
トレードが発表された直後、楽天の石井一久GMは古川のことを「エースになるかもしれない(存在)」と評していた。その片鱗を見せた古川が、巨人の“秘密兵器”となるかもしれない。
※数字は2019年9月25日終了時点