ニュース 2019.10.01. 19:44

プレミア制覇を見据える稲葉監督「目の前の試合、大会を勝つために最適なメンバー構成」

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ベテランとスペシャリストの存在


 侍ジャパンを率いる稲葉篤紀監督が1日、今月末に行われる『ENEOS 侍ジャパンシリーズ 2019』のカナダ戦と、来月上旬に開幕する『プレミア12』に挑む日本代表メンバー28名を発表した。

 稲葉監督と共に登壇した山中正竹・強化本部長は「東京オリンピックの前哨戦であり、稲葉監督には、勝つことを最優先に挑んでもらいたい旨を伝え、それを踏まえたメンバー選考をお願いした」と語り、稲葉監督も「試すことのできる試合は、すでに終わった」ことを強調。「これまで見てきた選手に、ベテランやスペシャリストを加え、目の前の試合、大会を勝つために、最適なメンバー構成ができた」と続けた。

 経験豊富な“ベテラン”として期待を寄せている選手には、2017年のWBC以来の選出となった松田宣浩選手(ソフトバンク)を挙げ、「彼は経験も豊富。ムードメーカーでもある。プレー以外の部分でも担う役割は大きい」と、今回のメンバーでは最年長となる“熱男”に期待を寄せた。

 また、足の“スペシャリスト”として招集した周東佑京選手(ソフトバンク)については「終盤での1点が非常に大事になってくる」と考えたなかで、「終盤に代走で出て警戒されているなか、スチールができる。そしてセカンドからヒット一本で帰ってこれる」スピードが必要不可欠であると主張。そのほかにも、昨年のU-23ワールドカップにおいて「大事なところで外野手として補殺を3つほど記録した」守備力も評価したことを明かした。


ファーストは浅村


 13名を招集した投手に関しては、2017年のWBCでも活躍した千賀滉大(ソフトバンク)に「先頭に立ってやってもらいたい」とコメント。所属チームでは先発として投げている選手が8名いることに関しては、「リリーフの経験があるという投手は、リリーフも考えている」とした。さらに「山本投手は先発も、中継ぎも、抑えも、というところは考えている」と続け、昨季は中継ぎとして活躍した山本由伸(オリックス)などは、今後の練習試合などを通して、「生きる場所」を模索していくという。

 そして、キャプテンに関しては「作らない方向を考えている」とし、「経験が豊富な坂本選手、菊池選手、松田選手、秋山選手らが中心となって、コミュニケーションを取り合ってチームを引っ張っていってもらいたい」との思いを口にした。

 その他、内野手登録の7選手中、6選手が二遊間の選手となっているが、「浅村選手をファーストで考えている」ことを明かし、すでに打診済みで了承も得ているとした。また、過去に一塁手として起用したこともある山田哲人選手(ヤクルト)も一塁手の候補であるとしたが、基本的には「やり慣れていないポジションはやらせない」との方針も示した。

 
 コンディションの事情もあって選ばれなかったとみられる、菅野智之投手(巨人)、柳田悠岐選手(ソフトバンク)、森友哉(西武)など、軸になり得る選手の五輪メンバー入りに関しては、「当然、彼らは実力がありますので、来年の東京オリンピックの候補には入ってくると思います」とコメント。来季の活躍に期待を寄せた。


▼ 山中強化本部長の挨拶
2017年の稲葉監督就任以降、アジアプロ野球チャンピオンシップ、オーストラリア戦、チャイニーズ・タイペイ戦、日米野球、メキシコ戦、多くの選手を侍ジャパンの一員として招集してきました。

そして、来年の東京オリンピックを控え、この秋のカナダ戦とプレミア12が最後の国際試合となります。これら秋の試合はまさに、東京オリンピックの前哨戦であり、稲葉監督には、勝つことを最優先に挑んでもらいたい旨を伝え、それを踏まえたメンバー選考をお願いしました。今回はコンディションやケガの状態により、選出できなかった選手もいますが、バランスのとれた現時点のベストメンバーだと考えております。

東京オリンピックを間近に控えた国際試合で、我々侍ジャパンが熱戦を繰り広げることで日本代表のユニフォームにあこがれる子供や、野球をやってみたいと思う子供がひとりでも増えれば、野球人としてこんなにうれしいことはありません。

引き続き、強化本部長として、稲葉監督以下、チームスタッフと連携を密にしながら、2020年東京オリンピックでの金メダルを目指して尽力していきたいと思います。


▼ 稲葉監督の挨拶
国民の皆さまが期待され、楽しみにされている東京オリンピックまで1年をきり、本番に向けて最後の国際試合を迎えることになりました。

これまで日本のプロ野球公式戦の視察や、その力を試してみたい選手を実際に招集することなどを通じて、侍ジャパンのチーム力底上げや、私自身、選択肢を増やすことをしてきました。

今年の夏から秋にかけては、これに加えて台湾、韓国のプロ野球公式戦や東京オリンピックのヨーロッパ、アフリカ予選も視察し、対戦相手となる選手やチームをこの目で見て、彼らに勝つためにはどうすべきか、いろいろ考えてコーチとも話をしてきました。

その結果、勝つためには、やはり、スピード、そしてパワー、これらが必要であり、これを土台としたチームを作り、東京オリンピックで金メダルを獲得したいという思いをさらに強くしました。

冒頭で申し上げたとおり、本番に向けた最後の国際試合です。試すことのできる試合は、すでに終わりました。粋の良い若い選手ばかり並べてみたり、長距離砲ばかり並べてみても、なかなか勝てないと思います。最終的には、スピード、パワー、経験などを、バランスよく構成することで強いチームを作ることができると考えました。

今回のメンバーは、コンディションやケガの関係で呼べなかった選手を除いて、これまで招集した選手、実力がわかっている選手、視察などを通じてみてきた選手、そこにベテランやスペシャリストを加え、目の前の試合、大会を勝つために、最適なメンバー構成ができたと考えています。
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