「勝つことを第一に」
ヤクルトは1日、都内の球団事務所で記者会見を開き、来季から高津臣吾氏が一軍監督に就任することを正式に発表した。
高津氏といえば、1990年のドラフト3位でヤクルトに入団。当初は先発での起用がメインだったが、3年目からリリーフへと回り、“伝家の宝刀”であるシンカーを武器にストッパーとして大ブレイク。ヤクルトの黄金期を支えた。
2004年からは戦いの場をアメリカ・メジャーリーグへと移し、ホワイトソックスやメッツで活躍。古巣・ヤクルトでNPB復帰を果たすと、積み上げたセーブの数はNPB歴代2位の「286」。日米通算のセーブ数は「313」を誇る、日本屈指の名クローザーとして球史にその名を刻んでいる。
さらに晩年は韓国や台湾、国内の独立リーグでのプレーも経験。様々な経験を積んで指導者に転身すると、2015年には一軍投手コーチとしてヤクルトのリーグ制覇に尽力。2017年からは二軍監督として若手の育成を任されてきた。
いわゆる“内部昇格”という形での一軍監督就任となるが、「僕らしく、スワローズはスワローズらしく。いい伝統を継承しつつ、明るく素晴らしいチームをつくっていかなければいけないと思っている」とチームづくりについて語った高津監督。
つづけて、「うちには素晴らしいベテランの選手もたくさんいる。若い選手との年齢差はあるが、すごくいい刺激をし合ってこのチームは成り立っている」とし、若手に対しては「今までは二軍で育てることを中心にやってきたが、これからは一軍で使う以上は勝つことを第一に。その次に選手を育てることを重視したい」と抱負を語る。
「素晴らしい投手陣をつくっていきたい」
今季、チームは最下位に低迷。一番の課題は投手陣だ。チーム防御率は12球団ワーストの4.78。投手陣の再建が、浮上のカギを握っている。
新指揮官はこの課題についても、「僕を指名していただいたのは、投手を再建する、または新しくつくり直すことを大きな目的として声をかけていただいたと思っている。そこがチームを立て直す一歩だと思っている」と力強いコメント。投手陣再建を最重要課題として掲げ、「素晴らしい投手陣をつくっていきたい」と意気込みを語った。
また、ヤクルトの今後のキーマンについて問われると、少し考えたあと「僕じゃないですかね」。「選手は全員キーマンだと思うが、それを束ねるコーチ、スタッフも含めてそう。現場の責任者になりましたので、やっぱり僕がしっかりしなければいけない」と気を引き締める。
「プロなので勝たなくてはいけない。勝つことがどれだけ難しいことを学んだ今シーズン。悔しさを来年に生かしてほしい。チーム一丸で向かっていけるチームをつくりたい」
現役時代は明るいキャラクターでファンに愛された高津新監督。道のりは険しいが、言葉どおり“チーム一丸”となって来季へ挑んでいく。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)