パのCSは過去12回中7回が3戦目に突入
2019年パ・リーグのペナントレースは、西武が強力打線を武器に最後の最後でソフトバンクを交わし2連覇を飾った。
昨シーズンは、開幕戦で勝利してから1度も首位を譲ることなく優勝を勝ち取ったが、今シーズンは初めて首位に立ったのが130試合目のこと。最大8.5ゲーム差をひっくり返しての大逆転Vであり、首位に立った日数はわずか11日だった。
そんな西武への挑戦権をかけ、10月5日からソフトバンクと楽天によるクライマックス・シリーズ(以下、CS)のファーストステージがヤフオクドームで開催される。今シーズンの対戦成績は13勝12敗でソフトバンクがわずかに上回るものの、ほぼ互角。ヤフオクドームに限ってみると、ソフトバンクの9勝6敗だが、両指揮官が前日会見で話していたように、短期決戦では、勝負の行方はどちらに転んでもおかしくない。
もちろん両チームとも連勝でメットライフドームへ乗り込みたいだろうが、過去のパ・リーグにおけるCSを見ると、12回中7回が3戦目までもつれ込んでいる。そんななか、下剋上を狙う楽天は、則本昂大、岸孝之の両輪に、美馬学を加えた右腕3人が先発する予定。その中でも頼れる存在なのが、美馬だ。
ソフトバンクと好相性
今シーズンの美馬は、25試合に登板して8勝5敗、防御率4.01という成績だったが、前述したようにソフトバンク相手にはめっぽう強かった。
7月19日の試合では、あわや完全試合という快投で完投勝利をマークするなど、今季はソフトバンクとの試合に7度登板して3勝1敗、防御率1.97と得意にしている。個人別で見ると、グラシアルは打率.231(13-3)、0本塁打、デスパイネには打率.188(16-3)、1本塁打と、勝負強く一発のある両外国人選手に仕事をさせていない。
また、松田宣浩、内川聖一といった百戦錬磨のベテラン選手たち打率は1割台。対戦した回数は少ないものの、柳田悠岐に対しても6打数ノーヒットと、中軸を担う主軸選手たちを完全に封じ込めてきた。
美馬は、ソフトバンクとの相性だけでなく、短期決戦でも無類の強さを発揮してきた。2013年のCSでは、ファイナルステージでロッテ相手に完封勝利。レギュラーシーズンでの完封勝利はなく、これが美馬にとってのプロ初完封でもあった。続く日本シリーズでは、巨人相手に2試合に先発し、11.2回を投げて1点も許さず、2勝をマーク。MVPを獲得している。
2017年のCSファーストステージでは第3戦に先発し、西武相手に4.2回1失点と試合をつくり、ファイナルステージ進出の一端を担った。この年のファイナルステージこそソフトバンク相手に3.0回5失点で敗れたが、短期決戦5試合で3勝1敗、防御率1.91は十分に誇れる数字だ。一発勝負に強いのは大きなアドバンテージだろう。
超短期決戦の中で、切り札の美馬をどこで起用するのか!? 3位からの下剋上を目論む平石監督の起用法にも注目だ。
▼ 美馬のソフトバンク戦成績
4月13日 - 8回 0失点 @楽天生命
6月2日 ○ 6回 1失点 @ヤフオク
7月19日 ○ 9回 1失点 @楽天生命
8月15日 - 7回 3失点 @楽天生命
9月5日 ● 5.2回 3失点 @ヤフオク
9月18日 ○ 5回 2失点 @ヤフオク
9月24日 - 5回 1失点 @楽天生命
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7登板(45.2回)3勝1敗/防御率1.97