ホロ苦デビューも
「何をするにしても初めてなので、勉強になった1年だったと思います」。
ドラフト3位ルーキーのロッテ・小島和哉は、プロ1年目のシーズンをこのように振り返った。
小島は開幕ローテーション入りを果たすも、プロ初登板・初先発の4月4日の西武戦は、2回、7被安打、8失点とほろ苦いプロデビューとなった。「最初は一軍で投げて、そこで出た課題をしっかりファームで取り組もうと思ってやって、うまくいくところいかないところがあった。ただ、それを上手く活かせたかなと思います」。一軍登録抹消後は、ファームで試行錯誤しながらも、一時は防御率トップに立つなどアピールを続けた。
4度目の昇格となった8月3日の楽天戦で、6回を無失点に抑えると、翌14日の日本ハム戦で6回を1失点に抑えプロ初勝利を挙げた。8月は4試合に先発して2勝1敗、防御率1.88。4試合中3試合でクオリティ・スタート(QS)を達成するなど、抜群の安定感を誇った。
「100点は自分の中でないと思っているので、常に前回のピッチングよりも次のピッチングをよくしようと思って投げている」。
クライマックス・シリーズ争いが熾烈になった9月に入ってからも、4日の日本ハム戦で6回2失点とゲームを作り、勝ち星こそつかなかったものの、8月29日以来の3位浮上に貢献した。11日のオリックス戦でも、7回3失点に抑え、3勝目を挙げた。
大事な一戦に先発
そして、小島は9月19日にZOZOマリンで行われた4位・楽天戦との直接対決に先発した。この試合前まで3位・ロッテと4位・楽天とのゲーム差は0.5。勝てばCS進出が大きく近づき、負けると4位に後退するという大事な一戦のマウンドを託された。
小島は初回に先頭の島内宏明に四球を与えると、続く茂木栄五郎に送りバントを決められ得点圏に走者を進められる。3番・浅村栄斗を二飛に打ち取るも、4番・ブラッシュに四球で一、二塁。ここを踏ん張りたいところだったが、銀次にセンター前に運ばれ先制点を許す。2回以降は走者を出しながらも、粘りのピッチングでスコアボードに0を入れ、5回、109球、3被安打、5与四球、1失点でマウンドを降りた。
なんとかゲームを作ったが、この日が3度目の投げ合いとなった楽天先発のエース・則本昂大は、小島を上回る8回、3被安打、無失点のピッチング。結局試合は、0-2でロッテが敗れた。
あの日の登板から2週間以上が経ち、改めて楽天戦の登板について聞いてみると、小島は「相手が則本さんですし、何回か投げ合っていたので、1点差のゲームになると思っていました。そういう意味では、5回までしか投げられなかった自分と、8回まで投げた則本さんの差をすごく感じました」と冷静な口調で振り返った。
プロ初登板で悔しい経験をしたが、シーズン後半には先発ローテーションに入るまで成長を遂げたように、この楽天戦の“悔しさ”と“経験”を必ず来年に活かしてくれるはずだ。
取材・文=岩下雄太