上り調子の大砲
セ・パ両リーグともに、クライマックスシリーズ(以下、CS)のファーストステージが終わり、日本シリーズへの出場権をかけたファイナルステージが幕を開ける。
長丁場のペナントレースとは異なり、一戦必勝の短期決戦では戦い方が変わってくる。ファーストステージを見ても明らかなように、近年は早めの継投策が主流だ。野手に関しても、選手の状態や相手投手との相性によってスタメンが変わり、代打も惜しみなくつぎ込んでいくケースが多い。
セ・リーグのCSファーストステージ第1戦(DeNA対阪神)では、阪神が7回表1−6のビハインドから高山俊、木浪聖也の代打攻勢で1点を返し、大逆転勝利の糸口を掴んだ。第2戦でサヨナラ本塁打を放った乙坂も代打での起用だった。
積極的な代打に関しては、DH制ではないセ・リーグの方が顕著だが、今シーズンのパ・リーグで打撃タイトルをほぼ独占した西武打線も例外ではないだろう。試合の中盤から終盤にかけ、長打や一発が欲しい場面で、下位打線に代打を送り込む展開は十分に考えられる。
試合前日に「ウチに奇策はない」と語った辻発彦監督も、以前「木村(文紀)や金子(侑司)に代打を出す可能性はあるかもしれない」とコメント。今季は、二塁での起用がメインとなっている外崎修汰も外野の守備練習を行うなど、“備えあれば憂いなし”といったところ。ベンチに控えていれば、真っ先に起用されるのは一発のあるメヒアだろう。
シーズン終盤の活躍に加え、シーズン後に行われた紅白戦では、2試合で4本塁打を放つなど、状態は上々。相手先発の左右によっては指名打者として先発する可能性も十分に考えられる。
低打率も貴重な一発
今シーズンのメヒアは75試合に出場し、打率.211(128-27)、6本塁打、31打点の成績を残している。外国人選手としてはもちろんのこと、かつては主軸を張った強打者としては物足りない数字であることは否めないが、得点圏打率.324(37-12)という勝負強さは光った。
さらに、CSファイナルステージが開催されるメットライフドームでは、打率.310(58-18)、4本塁打、20打点と結果を残している。レギュラー陣では、メットライフドームで打率3割を超えているのは森友哉ひとりしかいない。打席数は少ないながらも、メヒアが数字を残しているのは心強い要素のひとつだろう。
また、代打起用におけるメヒアのトータルでの成績は、打率.214(42-9)、3本塁打、11打点。ちなみに、西武の代打本塁打は3本しかない。つまり、メヒア以外に代打で本塁打を放った選手がいないことを意味する。このことからも、西武の代打陣でもっとも一発が期待できる存在ということがわかる。
もちろん、メヒアの長打力を最大限に生かすために、スタメンで起用する可能背だって否定できない。中村剛也、山川穂高、そしてメヒアと歴代の本塁打王が3人並ぶ打線も相手投手にとっては脅威。代打の切り札か、それともスタメンもあるのか――。試合展開と共に、辻監督のメヒア起用法にも注目だ。
▼ 今季成績
・メヒア(西武)
通算:75試合 打率.211(128-27) 本6 打点31
代打:51試合 打率.214( 42- 9) 本3 打点11
※数字は2019年シーズン終了時点