ニュース 2019.10.12. 13:00

佐々木・奥川に続くのは?例年以上の好素材が集う高校生投手のドラフト上位候補たち

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星稜・奥川恭伸(左)と大船渡・佐々木朗希(右)

ドラフト1位は間違いなし


 今月17日に行われる『プロ野球ドラフト会議』。今年も多くの選手が注目を集めているが、ここでは「カテゴリー」や「タイプ別」に候補選手を紹介していきたい。まずは、上位指名の候補となりそうな高校生投手から。まず間違いなく最初の入札で1位指名されると見られているのが、佐々木朗希(大船渡)と奥川恭伸(星稜)の両右腕だ。

 1年生の夏に岩手大会で147キロをマークして注目を集めた佐々木は、2年の春に153キロ、2年の夏に154キロ、2年秋に157キロ、そして3年春に行われたU18日本代表候補合宿で163キロをマークし、その存在は高校野球という枠を超えるものとなった。

 甲子園出場はおろか、東北大会にも出場していない選手が、ここまで注目を集めるのは史上初のことだろう。スピードに注目が集まるが、上手く上半身を脱力したバランスの良いフォームで変化球の精度も高く、クイックやフィールディングなど、投げるプレー以外も高レベルにある。これからどこまで伸びるかという未知の魅力に溢れており、将来はサイ・ヤング賞も狙える素材だ。

 一方の奥川は、完成度の高さ、ピッチングの安定感が最大の武器だが、それを生かしつつ着実にスケールアップも果たしてきた。今年の夏の甲子園、対智弁和歌山戦では延長14回を投げてもストレートの平均が150キロを超えており、これだけ高い水準のスピードは大学生や社会人でも、そうそういるものではない。

 ステップが狭く重心の高さは気になるものの、下半身はしっかり使えており、試合の中で修正できる能力も高い。高校生だが、即戦力としても十分に期待できる存在と言えるだろう。

▼ 佐々木朗希(ささき・ろうき)
<投手/大船渡高(岩手)>
身長/体重:190㎝/86Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 奥川恭伸(おくがわ・やすのぶ)
<投手/星稜高(石川)>
身長/体重:183㎝/84Kg
投打:右投げ右打ち


U-18で存在感を示した外れ1位候補


 外れ1位候補になりそうなのが西純矢(創志学園)と宮城大弥(興南)の2人だ。

 ともに、U-18で佐々木と奥川が出遅れた分をカバー。その活躍により更に評価を上げた。西は、堂々とした体格ながら力任せにならず、フォームに欠点がないのが大きな長所。スピードはコンスタントに150キロ前後に迫り、スライダー、チェンジアップのキレと精度も非常に高いレベルにある。

 宮城も上背はないものの強靭な下半身を生かしたフォームで、ボールに凄みがあるのがいい。140キロ台後半のストレートをコーナーに投げ分け、変化球も打者の手元で鋭く変化する。本格派の先発タイプが欲しいチームは西、比較的早く使えるサウスポーが欲しい球団は宮城に人気が集まることになりそうだ。

▼ 西 純矢(にし・じゅんや)
<投手/創志学園高(岡山)>
身長/体重:184㎝/85Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 宮城大弥(みやぎ・ひろや)
<投手/興南高(沖縄)>
身長/体重:172㎝/78Kg
投打:左投げ左打ち


その他の上位指名候補たち


 ここまで紹介した4人がいるだけでも華やかだが、それ以外にも2位以内の上位指名に入ってきそうな選手がいる。鈴木寛人(霞ケ浦)、井上広輝(日大三)、及川雅貴(横浜)がその候補である。

 鈴木は夏の甲子園の初戦、優勝した履正社に打ち込まれて早々にノックアウトされたものの、素材の良さは間違いなく一級品。186cmの長身だが、フォームに持て余したようなところがなく、スムーズに上から腕を振り下ろすことができている。

 角度のある最速148キロのストレートとブレーキのあるフォークは間違いなく超高校級。もう少し体を大きくして、下半身に粘りが出てくれば楽に150キロを超えてくるだろう。

 井上は、この世代の中でも早くから逸材と騒がれていた右腕。2年春の選抜で主戦として活躍すると、夏には早くもスピードが150キロに到達。清水直行(元ロッテなど)にイメージの重なる完成度の高いフォームで、コントロール、変化球のレベルも高い。

 2年時にヒジを故障したことと、他にも力のある投手がいたチーム事情もあって、最終学年では少し不完全燃焼に終わった印象は否めないが、投手としての総合力は間違いなく高校球界でもトップクラスだ。

 及川は井上よりも更に早い1年夏に甲子園デビューを果たし、その時点で最速145キロをマーク。佐々木、奥川、西と並んで“高校生ビッグ4”と呼ばれていたが、選抜で打ち込まれたことで少し評価を下げた。

 それでも長いリーチを生かした豪快な腕の振りは迫力十分で、サウスポーらしいボールの角度があるのは大きな長所。鋭く変化するスライダーも超高校級レベルのボールだ。上手くフォームが固まって、精神的なムラがなくなれば、日本を代表するサウスポーになれる素材である。

▼ 鈴木寛人(すずき・ひろと)
<投手/霞ケ浦高(茨城)>
身長/体重:186㎝/79Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 井上広輝(いのうえ・ひろき)
<投手/日大三高(東京)>
身長/体重:181㎝/81Kg
投打:右投げ右打ち

▼ 及川雅貴(およかわ・まさき)
<投手/横浜高(神奈川)>
身長/体重:183㎝/74Kg
投打:左投げ左打ち

 ここで紹介した選手たちは、例年であれば全員が1位候補でもおかしくないレベルである。昨年は高校生野手が4人1位指名でプロ入りしたが、今年は高校生投手がその数を超えることも十分に考えられるだろう。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
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