三重を代表する両右腕
今月17日に行われる『プロ野球ドラフト会議』。今年も多くの選手が注目を集めているが、ここでは「カテゴリー」や「タイプ別」に候補選手を紹介していきたい。今回は上位指名候補以外の高校生投手だ。
上位指名候補として前回の記事では、佐々木朗希(大船渡高)、奥川恭伸(星稜高)、西純矢(創志学園高)、宮城大弥(興南高)、鈴木寛人(霞ケ浦高)、井上広輝(日大三高)、及川雅貴(横浜高)の7人をピックアップした。これだけの顔ぶれでも十分豪華だが、今年の高校生投手は他にも将来性豊かな選手が揃っている。
実績と安定感では前佑囲斗(津田学園高)が一歩リード。ストレートのアベレージは140キロ台前半と凄みはそこまでではないものの、恵まれた体格と長いリーチを生かした腕の振りは力強さがあり、数字以上の勢いを感じる。
春夏連続で甲子園に出場して見事な投球を見せ、U-18の日本代表にも選出された。目立った悪い癖がないだけに、プロでしっかりと鍛えれば凄みが出てくる可能性は高い。
同じ三重で前のライバル的存在となっていのが岡林勇輝(菰野)だ。体つきはまだ細いものの、躍動感あふれるフォームから投げ込むストレートはコンスタントに145キロ以上をマークする。
甲子園という大舞台には縁がなかったものの、豊富な投手陣を抱えるチーム事情もあって無理使いされていないのもプラス要因だ。さらには左打席から強烈な打球を放つバッティングも魅力で、野手としての評価も高い。
▼ 前佑囲斗(まえ・ゆいと)
<投 手/津田学園高(三重)>
身長/体重:182㎝/88Kg
投打:右投げ右打ち
▼ 岡林勇輝(おかばやし・ゆうき)
<投 手/菰野高(三重)>
身長/体重:177㎝/73Kg
投打:右投げ左打ち
まだまだ粗削りな未来の本格派右腕たち
粗削りな素材型となると、浅田将汰(有明)、落合秀市(和歌山東)、堀田賢慎(青森山田)などの名前が挙がる。
浅田は、昨年秋から九州では評判だった本格派右腕。テイクバックで右肩が下がるフォームでリリースにバラつきはあるものの、指にかかった時の140キロ台後半のストレートには目を見張るものがある。意外に器用で変化球を低めに集められるのも持ち味だ。
落合はこの春に急浮上してきた大型右腕で、最速148キロの重いストレートが最大の武器。投球術や投げる以外のプレーなど、課題は少なくないが、素材の良さが光る。
堀田も落合と同じくこの冬に化けた一人。まだフォームはもっさりしたところがあるものの、長いリーチを豪快に振り下ろす腕の振りは出色で、この夏にはスピードも150キロを超えてきた。3人とも若手の本格派が不足しているチームにとっては面白い存在と言えるだろう。
▼ 浅田将汰(あさだ・そうた)
<投 手/有明高(熊本)>
身長/体重:181㎝/85Kg
投打:右投げ右打ち
▼ 落合秀市(おちあい・しゅういち)
<投 手/和歌山東高(和歌山)>
身長/体重:185㎝/90Kg
投打:右投げ右打ち
▼ 堀田賢慎(ほった・けんしん)
<投 手/青森山田高(青森)>
身長/体重:185㎝/80Kg
投打:右投げ右打ち
制球力&投球術が光る左腕たち
サウスポーでは井上温大(前橋商)と玉村昇悟(丹生)の2人を推したい。ともに夏は地方大会の決勝戦で敗れたものの、それまでは安定した投球を披露して評価を上げた。
井上は美しいと形容したくなるバランスの良いフォーム、玉村は広い肩の可動域と肘の柔らかさを生かした腕の振りが持ち味で、スピードはまだまだ140キロ程度が多いものの、コントロールが安定しているという点も共通している。ともにフォームが良いだけに、これから見違えるようにスピードアップすることも十分に考えられるだろう。
サウスポーで最後に紹介したいのが林優樹(近江)だ。昨年夏から甲子園ではすっかりおなじみの投手で、U‐18にも選出されている。社会人へ進むことが有力視されていたが、9月27日にプロ志望届の提出が発表されて驚かされた。
ストレートは130キロ程度だが、その投球術は高校生離れしたものがある。必殺のブレーキを誇るチェンジアップだけでなく、全ての変化球のレベルも高い。当然プロではまず体作りが急務とはなるが、投球術やテンポ、駆け引きというのはなかなか教えられるものではない。そういう部分を評価して指名に踏み切る球団が果たして現れるのか。今年のドラフト全体でも注目ポイントの一つになる。
▼ 井上温大(いのうえ・はると)
<投 手/前橋商高(群馬)>
身長/体重:175㎝/70Kg
投打:左投げ左打ち
▼ 玉村昇悟(たまむら・しょうご)
<投 手/丹生高(福岡)>
身長/体重:177㎝/74Kg
投打:左投げ左打ち
▼ 林 優樹(はやし・ゆうき)
<投 手/近江高(滋賀)>
身長/体重:174㎝/64Kg
投打:左投げ左打ち
文=西尾典文(にしお・のりふみ)