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前半戦はファームで経験を積む
オールスター明けに一軍に定着したロッテの中村稔弥。「いろいろな経験をさせてもらいました」と充実の1年となった。
開幕はファームスタートも、二軍戦では4月9日の楽天戦から25日の巨人戦にかけて3連勝。4月を終えた時点で3勝0敗、防御率1.45をマークした。5月に入ってからは二軍の先発ローテーションの一員として、5月16日の日本ハム戦から6月11日の楽天戦にかけて4試合連続でクオリティ・スタート(6回3自責点以内)を達成。
満を持して6月17日の中日戦で、プロ初登板・初先発した。中日打線を3回までパーフェクトに抑えるも、4回に先頭の井領雅貴に内野安打で出塁を許すと、大島洋平、ビシエド、藤井淳志に適時打を打たれるなどこの回だけで4失点。プロ初登板は5回0/3を投げて、5失点で敗戦投手となり、翌日にファーム降格となった。
プロ初登板を経て中村稔は「変化球の精度であったり、ランナーを出してからの投球。色々ありましたが、自分でもわかっているので、ひとつひとつ練習して二軍の実戦で試して、一軍でチャンスをもらったときにはそれを出せるようにと思っています」と課題の克服に励んだ。
再昇格を目指す中で、7月11日に行われた『プロ野球フレッシュオールスターゲーム2019』に、イースタン選抜の6番手としてマウンドに上がり、「自分のピッチングができたと思います。(課題に挙げていた変化球も)腕を振って低めにしっかり投げられました」と1イニングをパーフェクト、3奪三振に抑え、優秀選手賞に選ばれた。
ロングリリーフで存在感
8月1日に2度目の昇格を果たした。ファームでは先発を務めていたが、再昇格後はリリーフを任された。
「毎試合、緊張感があるのもそうなんですけど、リリーフは毎試合準備していかないといけないので、そこは(先発とは)違うなと思います」。
先発とリリーフの違いについてシーズン中、このように話していた中村稔は、再昇格後初登板となった8月5日の楽天戦で3回を無失点に抑えると、8月24のソフトバンク戦では3回1/3を3失点もプロ初勝利を挙げた。
8月は5試合に登板し、登板数を上回る14回1/3を投げて、防御率3.14。ロングリリーフで安定した投球を残せた裏に、チェン・グァンユウの存在がある。中村稔は、同じくロングリリーフを中心に投げていたチェンから「テンポよく投げることを教わりました」と明かした。
クライマックスシリーズ争いが佳境を迎えた9月も「本当に投げる試合は自分でしっかり準備して、入っていけている」と4試合に登板し、再昇格後は1度もファームに落ちることなく、シーズンを終えた。
プロ1年目を終えて
プロ1年目を終えて「一軍の試合に投げさせてもらったことはいい経験になりました。ただ課題もたくさんあった」と反省する。
シーズン中は変化球の精度を課題に挙げていたが、一軍を経験して「真っ直ぐの威力をもう少し出してやっていきたいと思います。ファウルではなく、空振りを取れる真っ直ぐを身に付けたいと思います」と新たな課題点が見つかった。
その一方で、「しっかり投げれば抑え込めたところはあった。そういうところは自信になりました」と手応えを掴んだ部分もある。
「一流のバッターは、凄い技術を持っているというのを投げていて感じた。そういう人たちを抑えていかないといけない。自分もレベルアップして、来年は長いイニングとかでも抑えられるようにやっていきたいです」。今年学んだ経験を来年に、どのように活かしていくのか非常に注目だ。
取材・文=岩下雄太