各球団のドラフト指名選手を解説!
10月17日(木)、今年のプロ野球・ドラフト会議が開催され、育成を含めると107名のアマチュア選手がプロ入りの切符を掴んだ。
ベースボールキングでは、ドラフト会議翌日の18日にYouTubeチャンネルにて「ドラフト会議2019振り返り!」を生配信。アマチュア野球を中心に様々な媒体に寄稿するスポーツライターで、ドラフト会議の当日はCS放送のスポーツチャンネル『スカイA』で生中継の解説も担当した西尾典文さんにご出演いただき、各球団の今年の指名を振り返っていただいた。
阪神・指名選手
投手/18歳 右投右打 創志学園高
[球団コメント]
最速154kmのストレートが魅力の本格派右腕。変化球のキレ、精度も高く高校生ながらプロでも即戦力として戦える完成度の高さが魅力。伸びしろにも期待でき、同世代の好投手としのぎを削り、将来球界のエースになれる素材。
2位:井上広大(いのうえ・こうた)
外野手/18歳 右投右打 履正社高
[球団コメント]
チャンスでの勝負強さと長打力が魅力の右の長距離砲。甲子園の舞台で活躍できるメンタルの強さも持ち合わせており、長打力に更に磨きをかければ、甲子園を沸かせる主軸打者になれる可能性を持った将来のスター候補。
3位:及川雅貴(およかわ・まさき)
投手/18歳 左投左打 横浜高
[球団コメント]
鋭い腕の振りから150kmを超えるキレのある真っ直ぐを投げ込む大型左腕。まだまだ成長できる伸びしろがあり、プロの世界で下半身の使い方を覚えれば、球界でも貴重な本格派左腕として先発の柱を担う実力を持った楽しみな投手。
4位:遠藤 成(えんどう・じょう)
内野手/18歳 右投左打 東海大相模高
[球団コメント]
パンチ力のある打撃、地肩の強さを生かした守備、スピード感のある走塁と、走攻守いずれも魅力のある大型遊撃手。身体能力が非常に高く、投手としても140km中盤の球を投げ込む、野球センス溢れる楽しみな好素材。
5位:藤田健斗(ふじた・けんと)
捕手/18歳 右投右打 中京学院大中京高
[球団コメント]
強肩と小力のある打撃が持ち味の攻撃型捕手。チームでは主将で4番を務め、甲子園の大舞台でも力を発揮できる度胸がある。プロの世界で総合力を磨き、将来的にチームを引っ張る司令塔に育てたい。
6位:小川一平(おがわ・いっぺい)
投手/22歳 右投右打 東海大学九州キャンパス
[球団コメント]
長いリーチから140km後半の直球を投げ込む本格派右腕。肩肘が柔らかく、大きなテイクバックから放つ真っ直ぐは魅力的。様々な変化球の中でもチェンジアップは落差があり、決め球として使える。
育成1位:小野寺暖(おのでら・だん)
外野手/21歳 右投右打 大阪商業大
[球団コメント]
リストの強さを生かして強い打球を放つ強打の外野手。大商大ではクリーンアップを打つなど安定感のある打撃が売り。4年生の春に首位打者を獲得、リーグMVPも2度獲得するなど実績十分。
育成2位:奥山皓太(おくやま・こうた)
外野手/22歳 右投右打 静岡大
[球団コメント]
身体能力抜群の大型アスリート系外野手。高校時代は投手だったこともあり野手としてはまだ荒削りな部分はあるが、強いスイングと外野からのスローイングは非常に魅力的で、プロの世界で大化けする可能性を感じる選手。
「一番良かったんじゃないかなというくらい…」
阪神は1位から5位までが高卒というフレッシュな指名。「去年の日本ハムを彷彿とさせますよね。史上初とかなんじゃないですか?」と西尾さんも驚いたラインナップになった。
ちなみに、調べてみると上位5名が高卒となったのは、1966年以来で実に53年ぶりのことだった。1位で後の大投手・江夏豊を指名したその年は、なんと1位から10位までの全員が高卒の選手という指名となっているが、うち6名は入団しなかった。
今年は星稜・奥川を1位競合で外してしまったものの、いわゆるハズレ1位で西を単独指名に成功。西尾さんも「西投手はハズレ1位の人気筆頭かなと思っていたので、チームも競合上等で攻めたのだと思うんですが、結果的に単独で指名確定できたのは大きかったですね」と、ハズレ直後も強気の指名に徹した部分を高評価。
つづけて、「やっぱり次の課題となると長打力、打てる選手が欲しいというところで、2位で高校生の右打者では石川選手(中日1位)に次ぐ評価になるであろう井上選手をしっかりと確保。さらに3位でスケールの大きな左腕の及川投手も獲得と、1位・2位だったら評価に悩んでしまうところの選手を2位・3位で指名しているというのが印象的です」とコメント。今年は上位で大学・社会人出身の選手が人気を集めた分、高卒の良い選手を“美味しい”順位で指名できた点をポイントに挙げ、「個人的には今年一番良かったんじゃないかなと思いましたね」とした。
育成まで抜け目なく課題に的確
下位でも、課題となっている部分を的確に補強した。
「4位の遠藤選手も打力ですね。投手もやっていたくらい身体能力も高いですし、うまく鍛えられたらおもしろい」と紹介。5位で指名した捕手の藤田についても、「梅野選手が要に成長したので優先度は低くなりましたが、その後を任せる存在も押さえておきたかったところで、この選手が5位まで残っていたか、と思いました。肩がとにかく強くて、打撃もパンチがあるので、本当に梅野選手の後継者候補としてはピッタリなんじゃないかと思います」と次代の正捕手候補として注目する。
支配下の指名で唯一の大卒となった小川についても、「大卒ですが、即戦力というよりは2年目、3年目でというタイプだとは思います。ポテンシャルは相当なものがありますし、数年後はローテーションに入っていても驚きません」と将来性を絶賛。
「外野が高齢化しているという部分も、育成で打力に一芸をもった2人の大型の外野手をしっかりと確保していますし、本当に非の打ち所がないなと思います」と育成まで抜け目ない指名。「数年後に振り返るのが楽しみ」と大きな期待を寄せた。