各球団のドラフト指名選手を解説!
10月17日(木)、今年のプロ野球・ドラフト会議が開催され、育成を含めると107名のアマチュア選手がプロ入りの切符を掴んだ。
ベースボールキングでは、ドラフト会議翌日の18日にYouTubeチャンネルにて「ドラフト会議2019振り返り!」を生配信。アマチュア野球を中心に様々な媒体に寄稿するスポーツライターで、ドラフト会議の当日はCS放送のスポーツチャンネル『スカイA』で生中継の解説も担当した西尾典文さんにご出演いただき、各球団の今年の指名を振り返っていただいた。
ソフトバンク・指名選手
外野手/21歳 右投右打 JR西日本
[球団コメント]
強肩、駿足、強打と三拍子そろった貴重な右打者の外野手。将来リードオフマンとして外野手の一角を狙う逸材。遠投120メートル、50メートル5秒8。今年の都市対抗では3戦連続2安打をマークした。
2位:海野隆司(うみの・たかし)
捕手/22歳 右投右打 東海大
[球団コメント]
送球の速さとボディーストップ能力に長けた大学ナンバーワン捕手。コミュニケーション能力も高く、次世代のレギュラー候補。大学日本代表では正捕手を務めた。
3位:津森宥紀(つもり・ゆうき)
投手/21歳 右投右打 東北福祉大
[球団コメント]
MAX149キロ、強い腕の振りで投げっぷりの良いパワー系サイドスロー右腕。大学3年時の大学選手権ではストッパーとして全試合登板し、19回を投げ自責0と活躍しMVPを受賞。全日本などの高いレベルの経験値もあり、マウンド度胸の良い実戦派投手。
4位:小林珠維(こばやし・じゅい)
内野手/18歳 右投右打 東海大札幌高
[球団コメント]
高校生離れした打球速度と長打力は非凡な物があり、右の大砲候補として期待。投手としてもMAX150キロとポテンシャルは非常に高く鍛えがいのある選手。
5位:柳町 達(やなぎまち・たつる)
外野手/22歳 右投左打 慶応義塾大
[球団コメント]
しなやかにバットを振り抜けるヒットメーカー。特に逆方向への打撃はハイレベル。どんな投手も組んせずバットでレギュラー獲りに期待。
育成1位:石塚綜一郎(いしづか・そういちろう)
捕手/18歳 右投右打 黒沢尻工高
[球団コメント]
高校通算39本塁打の長打力が魅力の捕手。捕手としての経験値は低いが、投手としても140キロを超す地肩の強さと非凡な長打力は、ポテンシャルが高く鍛えがいのある選手。
育成2位:大関友久(おおぜき・ともひさ)
投手/21歳 左投左打 仙台大
[球団コメント]
MAX148キロ、186センチ90キロと大型でオーソドックスなオーバースロー左腕。大型ながらバランス良く多彩な球種で緩急とコンビネーションで抑えるスタイル。
育成3位:伊藤大将(いとう・だいすけ)
内野手/18歳 右投右打 八戸学院光星高
[球団コメント]
走攻守にバランスが取れた二塁手。安定した守備力とシャープな打撃が魅力。
育成4位:勝連大稀(かつれん・はるき)
内野手/18歳 右投左打 興南高
[球団コメント]
守備センス抜群な遊撃手。足もあり、非力だが打撃センスもある。将来レギュラーを狙える逸材。
育成5位:舟越秀虎(ふなこし・ひでとら)
外野手/18歳 右投右打 城北高
[球団コメント]
身体能力抜群。ベース一周14秒00の脚力で、中学の時には陸上部に借り出される能力。
育成6位:荒木翔太(あらき・しょうた)
内野手/18歳 右投右打 千原台高
[球団コメント]
特徴は打撃スイング軌道のすばらしさと、脚力も兼ね備えている大型三塁手。鍛えたら大化けするタイプ。
育成7位:村上 舜(むらかみ・しゅん)
投手/17歳 左投左打 山形中央高
[球団コメント]
小柄ながら投げっぷりが良く、奪三振率が高い左腕。空振りを取れるストレートのキレが魅力。
上位は「ちょっと意外」
ソフトバンクは大方の予想に反し、1位で高卒スラッガーの石川昂弥に突撃。しかし、くじ引きに敗れると、社会人の右の外野手・佐藤を確保した。
西尾さんは「佐々木投手に目もくれず石川選手に行って、ハズレてもなお野手が4人並んでいるように、やっぱり野手が欲しかったんだなという印象です。内川選手や松田選手といった主力の高齢化はかねてから課題だったので、ここで一気に打線を支えてくれる選手を狙う…というのは分かります」としつつも、「ただ、佐藤選手を悪く言うわけではありませんが、タイプ的には少し微妙かなと」と明かす。
「佐藤選手は貴重な右の外野手で即戦力というところはありますが、どちらかと言えば強打者と言うよりもリードオフマンタイプかなと。俊足に強肩と3拍子揃ったタイプなので、将来の中軸というイメージはなかったです」と、最初に指名した“石川の代わり”という印象は薄いという見解を示した。
また、2位で指名した海野についても、「個人的には大学No.1捕手だと思いますが、やはりソフトバンクには甲斐選手がいますからね。ほかの捕手が手薄なチームが2位で、というのは分かりますが、ソフトバンクは2位でスラッガータイプを指名して、下位で高卒捕手を指名するというイメージでした」と、ここも意外な印象を明かした。
「見逃せないのが育成選手たち」
強打者タイプと言う点で言えば、注目されるのが4位の小林。剛腕投手として注目を集めた右腕だが、ソフトバンクは内野手として指名している。
「球速が150キロを計測するのでそちらが注目を浴びましたが、ソフトバンクは長打力を評価しての指名ということですね。まだどこを守らせるのかも分かりませんが、こうした選手を大化けさせそうなチームなので楽しみです」と西尾さん。
続けて、「見逃せないのが育成指名の選手たち。今の主力もそうですし、この中から日本代表選手が何人も輩出されてきているわけですから、本当にソフトバンクの指名は支配下だけでは語れません」というように、このチームは多くの隠し玉たちを主力へと成長させてきた。
西尾さんも楽しみな選手を挙げつつ、「すみませんが5位・6位はまったくノーマークでした。こういう選手がいきなり背番号2ケタになってヤフオクドームに出てきたりするので、その発掘力と育成力は恐ろしいですよね」と注目。プロでの才能の爆発に期待を寄せた。