前半戦は岩下を好リード
「前半戦は一軍に入れましたが、怪我があったので悔しいシーズンでした」。
ロッテの吉田裕太は、今季をこのように振り返った。プロ6年目の今季は開幕一軍を掴み、岩下大輝が先発のときはスタメンマスクを被った。
吉田は岩下を好リード。岩下は、5月が終了した時点で8試合に登板し44回1/3を投げて、防御率2.44と安定した成績を残した。岩下はこの時期、「イニング終わりに吉さんと話してやれている。コミュニケーションの取り方、サインだったり息も合ってきた部分もある」と粘り強く抑えられていた要因のひとつに吉田の存在を挙げていた。
吉田自身も好結果を積み重ねることで、「自信になっていましたね。(岩下と)ロッカーも隣だったのでコミュニケーションも取れていましたし、そこは良かったですね」と好感触を掴んだ。
スタメン出場を徐々に増やすも…
少ないチャンスでアピールしていた吉田は、正捕手・田村龍弘が『右ハムストリングスの筋損傷』で5月12日に一軍登録抹消となった以降、先発マスクを被る試合が徐々に増えた。
「がむしゃらにやっているだけでした。怪我して(田村が)登録抹消となったというのは関係なく、やることは一緒という感じでやっていました」。
打撃面でも5月29日の日本ハム戦で本塁打を含むマルチ安打をマークし、6月1日の西武戦からは4試合連続出塁と存在感を示した。
しかし、6月7日の巨人戦で左足を負傷し、翌8日に「左大腿二頭筋肉離れ」により一軍登録抹消。「一生懸命やった結果なので、そこはしょうがない。ネガティブに考えないで、次にそういう怪我をしないようにと鍛え直したいと思っていましたね」と、前を向いてリハビリに励んだ。
吉田が故障で二軍落ちしている間に、田村が一軍復帰し、種市篤暉が先発の時にマスクを被っていた柿沼友哉が台頭。「特に焦りはなかったですね。とにかく早く怪我を治そうという意識だけでした」と周りを気にするのではなく、自身と徹底的に向き合った。
クライマックス・シリーズ争いが佳境に入った9月に柿沼が左手を骨折し、吉田は9月4日に再び一軍の舞台に戻ってきた。出場機会はほとんどなく、復帰後は2試合のみの出場にとどまった。
シーズン終了後は、フェニックスリーグに参加していたが、15日からはZOZOマリンスタジアムで行われている秋季練習に合流した。来季に向けて吉田は「もう1回強い体、怪我しない体と技術面も守備も打撃もレベルアップできるようにやっていきたいと思います」と意気込んだ。
10月のドラフト会議ではドラフト2位で、佐藤都志也捕手を指名し、ライバルが増えた。来季は今季以上に激しい競争が予想される。7年目となる来季、存在感を見せていきたいところだ。
取材・文=岩下雄太