前半戦は抜群の安定感
「1年間やれたというのは収穫。いろんなことを経験できた。それを来年どう生かすかが大事だと思います」。
昨季、終盤に「思いきり投げすぎないこと。力の入れ具合を上手くみつけられた」ことで、一軍で安定した投球を見せたロッテの東條大樹は今季、開幕一軍を掴むと、1度もファームに降格することなく1年間一軍で戦い抜いた。
前半戦は抜群の安定感を誇った。4月12日の日本ハム戦から5月30日の日本ハム戦にかけて12試合連続無失点。5月は「できすぎじゃないですかね」と謙遜したが、9試合・9回2/3を投げて打たれた安打はわずかに1本だった。右打者に対しては16打数0安打、8奪三振と完璧に抑え込んだ。
特に右打者のアウトコースに投げるスライダーで空振りを多く奪った。スライダーで空振りが多く奪えている要因について東條は、前半終了時点で「特に要因とかないですね。意識することも、しっかりと下半身を使うことくらいですね。自信のあるボールですけど、狙って空振りを取れるのにはまだ。そこくらいまでいけたらいいですね」と話していた。
勝負の9月に…
優勝争い、クライマックス・シリーズ争いが本格化する後半戦は、登板のペースが増えた。8月はワンポイントを中心に15試合に登板。右打者に対しては28打数3安打、被打率.107と自分の役割を果たした。
振り返れば、シーズン開幕前に「右バッターを抑えるというのが僕の役割だと思う」と話しており、シーズンオフから右打者を抑えるための準備をしてきた。その結果がしっかりと結びついたといえるだろう。
しかし、勝負の9月。初めて1年間一軍で投げ続けることで、疲れが見えて来たのか、8試合に登板して、防御率11.57とやや精彩を欠いた投球となった。
東條は「後半はちょっと落ちたので、結果の部分でもうちょっとなんとかできたのかなと思いますね」と反省する。
その原因についても「体の使い方で、少し乱れた部分があったと思います」と本人もわかっており、それだけに「もう少し早い段階で、気づけるようになりたかったですね。そうしたら戻していくのは簡単だと思うんですけどね」と悔やんだ。
夏場以降の反省を踏まえ、東條は「秋季練習、秋季キャンプはシーズン中に出た課題と並行してやっていきたいのと、シーズンオフは体の使い方をもう少し勉強したりしてやっていきたい」と語った。
今季はリリーフで1度も二軍落ちしなかったのは、守護神の益田直也と東條だけ。この1年で一気にリリーフ陣では、欠かせない投手へと成長を遂げた。1年間戦い抜いたことで見つかった課題を修正し、来年は今季以上の働きを期待したいところだ。
取材・文=岩下雄太