自己最多の54試合に登板
ロッテの酒居知史はリリーフに配置転換となったプロ3年目の今季、自己最多の54試合に登板した。
内竜也、レイビンといった勝利の方程式として期待される投手が故障で投げられないなか、日に日に存在感を高めていき、一時は勝ちパターンの一角にも組み込まれた。
プロ3年目の今季、酒居本人はどのように感じたのだろうか——。
「前半は通用した部分もありつつ、それを継続するモチベーションのもっていき方というのは、来年に向けて改善しなければいけないと思います」。
「またフォームに関しても、シーズン途中にまだまだ技術不足だなと感じました。フォームが自分のモノになっていないというのがあったので、シーズンを通してしっかりと投げきれるフォームを継続できるように来年はやっていきたいと思います」。
リリーフで初めて1年を過ごす中で、収穫と課題の両方が見つかるシーズンとなった。
奪三振率が大幅にアップ
今季の酒居の特徴のひとつが奪三振の数だ。
▼ 酒居のイニング数と奪三振数
16年:74回2/3/48奪三振
17年:83回2/3/55奪三振
18年:57回2/3/60奪三振
▼ 球種別奪三振
【2017年】
スプリット 22個
ストレート 18個
スライダー 6個
カーブ 2個
【2018年】
スプリット 25個
ストレート 22個
スライダー 7個
カーブ 1個
【2019年】
スプリット 38個
ストレート 11個
スライダー 11個
追い込んでからスプリットやストレートで三振を奪う場面が多く、奪三振率は1年目の5.79、2年目の5.92から今季は9.36と大きくアップした。三振を多く奪えた要因について酒居は「すごく真っ直ぐも走っていたので、スプリットのリリースの位置がすごく良く、いい感じで投げられました」と話す。
その一方で、「後半になるにつれて、リリースのときにいいところに放れていなくて、スプリットも見やすい位置かなと感じる部分はありました」と課題もあったようだ。
また今季の酒居は、完璧に抑えた登板の翌日に、大量失点を喫するケースが何度かあった。「大量失点というのは状況把握、ランナーがどの位置にいる。守備がどう守っている。そういったときにどういう球種を選択するかというところで、僕の技術不足というところが一番大きいかなと思います」と反省した。
来季に向けて
今年初めて1年間リリーフを経験した酒居。来年に向けて「落ちていったところ。立て直せなかったところ、その辺りをもっと明確にして、そこのアラを探すじゃないですけど、精度を上げる部分はあげないといけない。これさえすればということがわかれば、気持ち的にも身体的にも楽になる。その辺を見つけられればなと思います」と課題克服に励む考えを示した。
ストレート、スプリットともに、開幕から素晴らしいボールを投げていた。シーズン通して投げきることができれば、今季以上の成績を残してくれるはずだ。
取材・文=岩下雄太