現役引退を決断
今季限りで現役を引退したロッテの伊志嶺翔大が、来季から一軍走塁コーチ兼打撃コーチ補佐兼外野守備走塁コーチ補佐を務めることが1日に球団から発表された。
伊志嶺コーチは10年のドラフト1位でロッテに入団し、新人時代の11年には126試合に出場して、打率.261、2本塁打、21打点、32盗塁をマーク。3年目の13年にも102試合に出場したが、近年は出場機会が減少。昨年は18試合の出場にとどまり、今季はプロ入り後初めて一軍の出場がなく、10月3日に戦力外通告を受けた。
年齢でいえば今年で31歳。田中将大(ヤンキース)、前田健太(ドジャース)、坂本勇人(巨人)、柳田悠岐(ソフトバンク)といった“88年世代”の選手たちが同学年にあたる。
まだ現役でできる年齢といえるが、10月13日に球団から引退と来季から一軍コーチ就任が発表された。
伊志嶺に現役を続けたいと思わなかったのかと問うと、「(現役か引退かは)半々という気持ちでした」と話したが、「色んな方に話を聞いて自問自答しながら、最終的にコーチをやるからには、スッパリと現役を辞める気持ちになりましたね」と現役を引退しコーチに就任することを決断した。
コーチ就任
ZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習には13日から合流。背番号は今季まで背負っていた38を着て、選手たちと汗を流した。
伊志嶺コーチが目指すコーチ像について「疑問を持ちながらやるのと、納得しながらやることは全然違う。選手としっかり話し合って、いろんな疑問点を解決しながらやっていけたらなと思います」と明かす。
続けて伊志嶺コーチは「今まで携わってきた方々は、いろんな引き出しや、自分の指導法を持っていた。そういうのを自分も思い出しながらじゃないですけど、引き出しとして、自分のなかで色々噛み砕いてやっていきたいと思う。選手と話し合いながら、どれがベストか考えながらやっていけたらなと思います」と意気込んだ。
選手のスタートを動画で撮影
秋季練習では、ダッシュのときに選手たちがスタートする場面を動画で撮影し、休憩中に自ら撮った動画を確認している場面も見られた。
「映像に残しておいて、いろいろと自分も勉強しながら、どうやったらスムーズにスタートを切れるのか、その選手の癖とかがわかればいいなと思って撮影していました」。
「また映像に残しておけば、選手と映像を見ながら照らし合わせながら確認ができると思うのでね」。
「まだ(選手の)情報が少ない。鴨川とかこれから先の練習で映像として残して、多く情報をとっていきたいなと思います」。
まずは選手たちの特徴を知り、勉強していくとともに、その選手にあった指導法を探していく考えだ。
「自分のやっていた感覚もありますし、持っている技術というのは、感覚は人それぞれ。自分がこうだから押し付けではなく、話あって選手がベストなものを引き出していけたらなと思います」。
ロッテはチームの盗塁数が昨季の108盗塁から今季は75盗塁に減少しており、走塁コーチとしては得点力をアップするために盗塁数アップをさせたいところだろう。
「選手が自信を持って走らないことには、盗塁は成功しないですし、半信半疑でいくと、一番盗塁は決まりにくい。走らせなきゃではなく、選手が自信を持ってスタートをきれるように、サポートするだけかなと思います」。
2005年以来のリーグ優勝から遠ざかるマリーンズ。リーグ優勝を目指すために必死に汗を流す選手たちをコーチとして支えていく。
取材・文=岩下雄太