日本、メキシコが全勝突破
5日に開幕した『世界野球プレミア12』も1次ラウンドがまもなく終了。稲葉監督率いる侍ジャパンはオープニングラウンド(OR)で3連勝を飾り、グループBの首位で日本開催のスーパーラウンド(SR)進出を決めた。
全6チームが進出するSRは、他グループの上位2チームと総当たりでのリーグ戦となるが、同グループだったチームとはSRで対戦せず、ORでの対戦結果が持ち越される。そのため、SRでチャイニーズ・タイペイに勝利した日本は、1勝0敗という状態でSRを戦うことになる。
とはいえ、初優勝へ目指す侍ジャパンを待ち受ける試練はまだまだここから。グループAではメキシコが全勝、グループCでは2連勝した韓国が最終戦を待たずしてOR突破を決めており、日本で開催されるSRでは、彼らとの戦いが侍ジャパンの命運を左右することになるだろう。
レギュレーションも異なり、単純な比較はできないが、実際にプロ選手が参加するようになったシドニー五輪(2000年)以降の国際大会で全勝優勝を果たしているのは、過去8大会で2カ国だけだ。
【NPB選手参加の世界大会・優勝チーム】
▼ シドニー五輪(2000年)
アメリカ[8勝1敗]
敗戦=キューバ<予選リーグ>
▼ アテネ五輪(2004年)
キューバ[8勝1敗]
敗戦=日本<予選リーグ>
▼ 第1回WBC(2006年)
日本[5勝3敗]
敗戦=韓国<第1ラウンド、第2ラウンド>、アメリカ<第2ラウンド>
▼ 北京五輪(2008年)
韓国[9勝0敗]
★全勝優勝
▼ 第2回WBC(2009年)
日本[7勝2敗]
敗戦=韓国<第1ラウンド、第2ラウンド>
▼ 第3回WBC(2013年)
ドミニカ共和国[8勝0敗]
★全勝優勝
▼ 第1回プレミア12(2015年)
韓国[6勝2敗]
敗戦=日本<1次ラウンド>、アメリカ<1次ラウンド>
▼ 第4回WBC(2017年)
アメリカ[6勝2敗]
敗戦=ドミニカ共和国<1次ラウンド>、プエルトリコ<2次ラウンド>
「全勝優勝」は4分の1
野球は1992年のバルセロナ五輪から正式競技に採用されて、キューバが92年、96年と全勝優勝。プロ参加以前は世界最強のアマチュア軍団“赤い稲妻”がその名を轟かせていた。
2000年にIOC(国際オリンピック委員会)がプロ選手の参加を認めると、日本は当時、西武2年目の松坂大輔、大学生だった阿部慎之助(中央大)、石川雅規(青山学院大)、社会人の杉内俊哉(三菱重工長崎)、渡辺俊介(新日鉄君津)らを招集。プロ・アマ混成チームで決勝トーナメント進出を果たすも、準決勝でキューバ、3位決定戦で韓国に敗れ4位に。2004年からはオールプロで国際大会に臨むようになった。
日本が世界一に輝いたWBCは、前述の通り、いずれも韓国に2敗しながらの優勝で、2006年に至ってはアメリカにも敗れて2次ラウンド1勝2敗。失点率の差で奇跡の決勝トーナメント進出にこぎつけ、トータル5勝3敗で優勝を果たした(準決勝で日本に敗れた韓国はトータル6勝1敗)形だ。
過去、NPB選手が参加した五輪、WBC、プレミア12の計8大会で全勝で優勝しているのは、北京五輪の韓国と、第3回WBCのドミニカ共和国の2チームだけ。現時点で全勝優勝の可能性を残す日本が3カ国目の全勝優勝国となれるのか――。
いずれの大会も一筋縄では行かないことは結果をみれば明らか。特に今大会は、来夏に開催される東京五輪の出場権もかかっており、日本、韓国がオールプロ、チャイニーズ・タイペイは国外組を含めたメンバーを構成するなど、東アジアのライバルたちはアジア・オセアニア地域の最上位に与えられる「東京五輪出場権1枠」を見据えて臨戦態勢だ。
出場権を手にしている日本にしても、本気モードの代表チームと対戦できるのは、本番前最後となる。自国開催の東京五輪で金メダルを目指す日本にとっても、今大会は1つの試金石と言えるだろう。
いよいよ11日からは東京ドーム・ZOZOマリンスタジアムでスーパーラウンドが開幕。上位2チームに与えられる決勝進出の切符をかけたベスト6による総当たり戦が始まる。ORで3連勝した勢いそのままに、全勝優勝を果たし、自国開催の五輪へ弾みをつけられるのか、注目だ。
『プレミア12』大会形式
【OPENING ROUND】
・4チーム、3グループが総当たりで対戦。
・各グループ上位2チーム(計6チーム)がスーパーラウンドに進出。
【SUPER ROUND】
・各グループ上位2チームが、他グループのチームと総当たりの対戦(各チーム4試合)を行う。
・オープニングラウンドとスーパーラウンドの成績(対戦全チームとの対戦成績)を合計。
・成績上位2位のチームは決勝に、3位・4位のチームは3位決定戦に進出する。