開幕一軍スタートも
「昨年は後半一軍で投げましたけど、全然力になれなかった部分がある。1年間通してしっかり一軍の力になるということが最大の目標ではあります」(春季キャンプ中)。
「まずは開幕一軍で迎えられるというところで、最初からチームの戦力としてやれるチャンスがある。それをチャンスと捉えて、最後までしっかりできればなと思います」(開幕直前)。
ロッテの唐川侑己は春季キャンプ中、開幕直前に、“1年間一軍で投げ続けること”に強いこだわりを見せた。今季は開幕を一軍で迎えたが、8月15日に一軍登録を抹消。シーズン終盤に再昇格を果たすも、1年間一軍で投げ続ける目標を達成することができなかった。
「中継ぎで最初は8回を任されて、チャンスはあった。出だしは良かったのですが、終盤の連戦が続くところで上手くチームの力になれず、悔しいシーズンになりました」。
悔いが残る1年
昨季は夏場以降リリーフで存在感を示し、21試合に登板して防御率は驚異の0.36、13試合連続無失点でシーズンを終え、今季は守護神・益田直也に繋ぐ“勝ち試合の8回”を任された。
3月29日の楽天との開幕戦、5-4の8回からマウンドにあがると、3番・浅村栄斗、4番・島内宏明、5番・ウィーラーのクリーンナップを三者凡退に打ち取った。その後の登板でもスコアボードに0を重ねていき、開幕から7試合連続無失点に抑えた。
しかし、4月20日の西武戦で4点を失い今季初失点を喫すると、シーズンを通して0で抑える試合は多かったが、突如として大量失点を喫してしまうことが何試合かあった。
唐川は「球が操れている日と操れていない日がある」と度々話してきたが、“球が操れなかった日”が大量失点に関係していたのかーー。
「そこについては、ある程度自分のなかでのレベルでできたのかなと思っています。怪我とかも特にしていないですし、今年1年間通して調子は全体的に良かったと思います」。
では、大量失点を喫するときの原因はなんだったのだろうか。
「う〜ん。やっぱりそういうときというのは、何か自分のミスが絡んでいる。自分のミスが絡まないで大量点を取られるということは、なかなかないと思うので、防げるホームランだったり、連打ですよね」。
「連打だと投げているところが終盤というのもあるし、序盤よりもバッターが集中しているところでもある。防ぐことをするのが大事なのかなと思います。いいときに抑えられるのは、誰でも抑えられる。そこでどうやって粘るか。やっぱり今年1年間、益田とかを近くで見ていて、そういうのができるピッチャーとできないピッチャーの差があると思いましたね」。
抑えているときはリズムよく3人で抑え、守護神の益田に繋いでいた。それだけに、大量失点を喫する試合がもったいないように感じてしまった。
来季に向けて唐川は「体をしっかり整えてというか、偏った動きばかりしているので、体の状態をよくして来季に繋げていけるようにと思って今はやっています」と動き出している。
「来年のポジションはどこかわからないですけど、今年はチームとしてもCSに出られなかった。目指しているところはそこ(CS)ではないですけど、しっかりみんなで優勝を目指しやっていきたいと思います」。唐川はリーグ優勝するためにも大事なピース。来季こそ“1年間一軍”で投げ続けたいところだ。
取材・文=岩下雄太