ニュース 2019.11.18. 00:22

侍ジャパン・稲葉監督、涙の世界一「選手たちのおかげ」

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侍ジャパン・稲葉監督

「選手全員が粘り強くやってくれた結果」


 『第2回 WBSC プレミア12』は17日に決勝戦が行われ、日本が韓国に5-3で勝利。激闘を勝ち抜き、10年ぶりに世界の頂点に立った。

 前回大会王者との決戦は、初回に先発の山口俊が2被弾・3失点と出鼻をくじかれたものの、直後に4番・鈴木誠也の適時打で1点を返すと、2回には山田哲人が値千金の逆転3ラン。その後はこう着した展開が続いたが、7回に浅村栄斗が貴重な適時打を放って突き放す。

 投手陣も先発の山口が1回で降板となる誤算も、2番手以降の投手たちがギリギリの状況の中で奮闘。最後は守護神の山﨑康晃が危なげなく締め、「プレミア12」初優勝を掴んだ。

 「監督に就任してから2年…。このプレミアと、来年の東京五輪で優勝したいという想いで過ごしてきた。選手たちも世界一になりたいという想いが強く、選手たちのおかげで世界一になることができて嬉しい」。

 試合終了直後、思わず涙を流した侍ジャパン・稲葉篤紀監督が振り返る。

 「今回はどの試合も楽な展開ではなかった。その中で、選手全員が粘り強くやってくれた結果が、このような良い結果につながったと思います」。

 台湾から始まった世界一への道。序盤は打線の調子がいまひとつで薄氷の勝利が連日続いてきたなか、少ないチャンスをモノにした打線と、多くない得点を必死に守った投手陣。戦った選手全員の“粘り”を優勝の要因に挙げた。


いざ、大目標の東京五輪へ


 選手の負傷離脱や緊急招集、また調子の良し悪しもあってなかなかメンバーが固定できなかった中、戦いながら徐々にチームを仕上げていった稲葉監督。そのなかで光ったのが、指揮官が就任からずっと大切にしてきた“結束力”だった。

 「今回はスタメンを毎日変えていきました。その中で、ベンチスタートの選手には特に声をかけるように。『あとから頼むぞ』と声をかけながらやってきました。選手たちもそれを理解してくれて、常にいつでも行ける準備というものをしてくれていました」。

 誰が出ることになっても、選手がそれぞれの役割を理解して任務を遂行する。苦しい中でも白星を拾って行くことができた裏には、スタメンだけでなく控えのメンバー、さらにはスタッフや裏方さんも含めた“チーム一丸”で戦えたという部分が大きい。


 戦うたびに“結束力”を高めてきた稲葉ジャパン。その集大成となるのが、来夏に迫ってきた東京オリンピックだ。

 指揮官も優勝直後の監督インタビューで「来年はオリンピックもありますから…」と繰り返したように、今回の優勝は言わば通過点。今日は歓喜の余韻に浸っても、あすからはまた新たな戦いがスタートする。実際、試合後に行われた会見でも、早くも五輪に向けての質問が飛んだ。

 今大会で3位に入り、初めてオリンピックへの出場権を獲得したメキシコについては、「打者も投手にも非常にパワーがあった。打者はパワーのある投手をどう打っていくか、投手はパワーヒッターたちをどう抑えていくか。これを考えていきたい」とコメント。

 そして、優勝をかけて死闘を繰り広げた韓国についても、「やはり強いなと、改めて感じました。今回は2試合勝ちましたけど、紙一重だったと思います」と、国際試合におけるライバルの強さを身をもって感じたことを明かす。


 2019年はプレミア12、2020年は大目標のオリンピック。さらには2021年には5回目のワールド・ベースボール・クラシックと、ここから大きな国際大会が続いていく中で、まずは“一冠目”を手中に収めた侍ジャパン。この優勝を弾みに、グローバル・チャンピオンの座を守り続けていくことができるか。今後の戦いからも目が離せない。


文=尾崎直也
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