ニュース 2019.11.18. 19:30

脳裏に焼き付いた鈴木大地の後ろ姿とその魅力

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6月16日の中日戦でサヨナラ打を放った鈴木大地(C)Kyodo News

試合前の後ろ姿


 11月18日10時36分、マリーンズから『退団の件』というプレスリリースが届く。それは鈴木大地選手の退団決定の報だった。

 2014年から4年間、マリーンズでキャプテンを務め、今季からは選手会長に就任するなど、まさにチームの顔として多方面で活躍してきた。鈴木大地退団の報に、寂しさを感じたファンは多かったと思う。私もそのひとり。そんななか、思い起こされるのは、マリーンズの勝利のために試合前のZOZOマリンスタジアムで黙々と練習している背番号7の後ろ姿、“We Are”でファンと勝利を分かち合っている姿だった。


 昨季まで3年連続で全試合に出場するなど、不動のレギュラーとして活躍してきた鈴木だったが、今季は日本ハムで本塁打王に輝いたレアードが加入し、将来の4番候補として期待される安田尚憲との競争も強いられた。オープン戦で打率.310とアピールしたが、楽天との開幕戦はベンチスタート。結局、最後まで出番がなく、2015年5月21日の西武戦から続いていた連続試合出場も、532試合でストップした。

 開幕直後は、なかなか出番が訪れず、悔しい思いをしていたはず。しかし、そんな素ぶりを一切見せることなく、全体練習前に黙々とロングティーをしていた鈴木の背中が今でも忘れられない。鈴木は2018年のシーズン途中から、ホーム・ZOZOマリンスタジアムで行われる全体練習前に「バッティングのルーティンを作りたい」と、三塁ベンチ前付近でロングティーをはじめていた。

 それは鈴木にとっての調整の時間であり、試行錯誤する時間でもあった。

 一塁手の井上晴哉が打撃不振で二軍落ちし、レギュラーに返り咲いた後、サヨナラ打を放った翌日、雨が降っている日や風が強い日は室内練習場で、札幌や福岡からの当日移動の日も、誰よりも早くグラウンドに出てバットを振っていた。

 それは、福浦和也の引退試合が行われた9月23日も。報道陣がグラウンド上で福浦の登場を待っている側らで、試合に備えて黙々と打ち込んだ。「(1年間)続けられたというのは意味があると思います」。継続は力なり。どんな状況に立たされても、その状況を跳ね返し続けてきた鈴木の真骨頂が、その行為に凝縮されているような気がする。そしてそれは、誰よりもグラウンド上で一緒にプレーしてきた選手たちが感じてきたことだろう。


勝利の儀式“We Are”


 2016年から本拠地・ZOZOマリンスタジアムでマリーンズが勝利した後の恒例行事がある。ファンと一緒に勝利の喜びを分かち合う勝利の儀式“We Are”だ。

 鈴木は“We Are”を始めた経緯について当時、「選手会と球団の人との会議でやれたらいいなと。2015年もやろうとしていたけど、イベント時に勝利したときだけ。だったら勝ちゲーム全部でやったらいいんじゃないかと話がでて、全部やることになった」と話していたが、今ではマリンスタジアムの名物のひとつになっている。

 2016年当時「基本的にはミスした選手は、なるべく誘わないようにしている。だけど僕はどんなにミスがしても行く。若手を引っ張っていきたい」と話し、その言葉通り実行し続けた。

 “We Are”をはじめて4年目の2019年。マリンスタジアムで行われた楽天との開幕戦でチームは、鈴木とサードのポジションを争うライバルでもあるレアードの逆転3ランで勝利した。鈴木は出番がなかったが、「We Areをやり始めたころから、自分がそういう風になっても行こうと決めていた」と、ライトスタンドのファン、チームメイトとともに“We Are”を行った。

 どんな状況でも、“We Are”に参加し、ファンと勝利を分かち合ってきた鈴木。11月17日に行われたファンフェスタが、マリンスタジアムに訪れたファン、マリーンズの仲間とともに行った最後の“We Are”となった。

 マリーンズを去り、楽天に入団することが決まったが、鈴木がこの8年の間に、選手に、ファンに、そしてチームに残してきた様々な功績が忘れ去られることはないだろう。移籍を悲しむファンはいるだろうが、その前途を祈らずにはいられない。そんな人間性こそが、鈴木大地という野球人の魅力なのだろう。新天地でも“ひたむきに”、“力の限り”、“魂を震わせる”プレーで、プロ野球ファンを楽しませてもらいたい。


取材・文=岩下雄太

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