宮西尚生
日本ハム・宮西尚生

◆ 毎年のように名投手が現れた2010年代

 侍ジャパンの戦いも終わり、いよいよ野球界も本格的なオフシーズンモードへ。いよいよ「今年も残りわずか…」を実感する時期になってきたが、2019年が終わる前に“この10年”のプロ野球を振り返ってみようというのがこの企画だ。

 2010年代のプロ野球といえば、日本シリーズ3連覇という偉業で締めくくったソフトバンクの強さが際立つ。実際、この10年で6度の日本一と、新たな球界の盟主としてその名を轟かせた時代だったと言える。

 選手個々に目を向けてみると、ダルビッシュ有や田中将大、最近では大谷翔平など、球界を代表する投手が次々に現れたのが印象的。国内で圧倒的な力を発揮した彼らは、WBCやプレミア12といった国際大会での活躍を経て、海を渡りメジャーリーグへと活躍の場を移していった。

 そこで、今回は好投手が数多く台頭した「2010年代」(2010~2019年)における中継ぎ投手にスポットを当てるべく、この期間に日本プロ野球界で最も多く“ホールド”を挙げた選手に注目。

 肉体的にも精神的にも負担の大きい役割だけに、長く活躍することが難しいようにも思えるが、この10シーズン通算で最もホールドを挙げた投手は誰なのか。まずは10位から6位までを見ていこう。

◆ ロッテから3人がランクイン!

▼ 10位:大谷智久(ロッテ) 120ホールド
☆2010年代実働年数=10年

▼ 9位:松永昂大(ロッテ) 132ホールド
☆2010年代実働年数=7年(2013年~)

▼ 8位:平野佳寿(オリックス) 139ホールド
☆2010年代実働年数=8年(2010年~2017年) ※現ダイヤモンドバックス

▼ 7位:益田直也(ロッテ) 140ホールド
☆2010年代実働年数=8年(2012年~)

▼ 6位:青山浩二(楽天) 148ホールド
☆2010年代実働年数=10年

 この10シーズンにおけるトップ10の基準は「120」。まず目につくのが、10位から6位までの5つの枠のなかに、ロッテから3名がランクインしている点だ。

 大谷は2009年ドラフト2位での入団で、2010年代実働年数=自身のプロ年数。今季はファームで過ごす時間が長く、一軍登板は2試合に留まったものの、この10年で340試合に登板した。

 その後、2011年のドラフト4位で入団したのが7位の益田直也で、こちらはプロ8年で472試合に登板。さらにその翌年、2012年のドラフト1位で入団した松永昂大も通算354試合に登板と、2人は後からの加入ながらすでに大谷を上回る登板数を誇る。狙って獲得した即戦力の投手たちが、見事に中継ぎ陣の主力として働いた。

 また、8位の平野佳寿に関しては、「セーブ」部門でも第5位にランクインしているのが特筆すべきポイント。メジャー挑戦のため2010年代の実働は8年となったなか、その間に156セーブ・139ホールドを稼いだのはとてつもない実績だ。

◆ 1位は驚異の「300」オーバー!

▼ 5位:増井浩俊(オリックス) 152ホールド
☆2010年代実働年数=10年

▼ 4位:浅尾拓也(中日) 154ホールド
☆2010年代実働年数:8年(2010年~2015年、2017~2018年)

▼ 3位:スコット・マシソン(巨人) 174ホールド
☆2010年代実働年数=8年(2012年~2019年)

▼ 2位:山口鉄也(巨人) 213ホールド
☆2010年代実働年数=7年(2010年~2017年)

▼ 1位:宮西尚生(日本ハム) 316ホールド
☆2010年代実働年数=10年

 第5位に入った増井も、平野と同じく「セーブ」部門とのダブル入賞。先発に回ったシーズンもあったなか、この10年で163セーブ・152ホールドを記録した。

 上位には各球団で伝説的な活躍を見せ、ユニフォームを脱いだ選手が並んだなか、ダントツのホールド数を記録したのが日本ハムの宮西尚生。ただ一人300の大台を超え、2位に100以上の差をつける圧勝となった。

 勤続疲労がたたって故障や不調に悩まされる選手も多いなか、宮西はプロ入りから欠かさず12年続けて50試合以上に登板。通算337ホールドはプロ野球記録である。2012年以降は毎年25ホールド以上をマークしており、34歳を迎えた今季に自己最多を更新する43ホールドを挙げるなど、その鉄腕ぶりはまだまだ健在だ。

 昨オフ、FAの動向に注目が集まるも、「この左腕をファイターズに捧げようと思う」と生涯ファイターズ一筋を宣言した男。偉大な日本記録をどこまで伸ばしていくことができるのか、2020年代も目が離せない。

文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

【プロフィール・福嶌弘】
1986年、神奈川県生まれ。バイク・クルマの雑誌の編集部を経て2015年からフリーライターに。父が歌う「闘魂込めて」を聴いて育ったため、横浜出身ながら生来の巨人ファン。『がっつり!プロ野球』(日本文芸社)、『プロ野球 復活の男たち』(宝島社)などに執筆。

この記事を書いたのは

ベースボールキング編集部

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