◆ ファンに愛されたスピードスター

 今季限りでユニフォームを脱ぐ決断を下したDeNAの荒波翔(33)が24日、追浜の横須賀スタジアムで行われた「ファンフェスティバル2019」に参加。企画された引退セレモニーの中でファンに別れを告げた。

 2018年の9月にベイスターズから戦力外通告を受けた荒波は、所属チームが決まらない状況下でメキシコ行きを決断。今年の6月下旬に契約を解除されるまでプレーを続け、その後は国内での復帰を目指したが、夢叶わず8月31日に引退を決意した。

 横浜生まれ横浜育ちの荒波は、“名門”横浜高に進学し、大学、社会人を経てベイスターズに入団した正真正銘のローカルプレイヤー。スピードスターとして鳴らし、プロ入り2年目の2012年と13年には連続してゴールデングラブ賞を受賞するなど、DeNAになってからのベイスターズを象徴する選手だった。ケガも多く骨折や肉離れなどに泣かされた現役生活だったが、全力疾走を身上にする、その姿は多くのファンの胸を打った。

◆ 涙を堪えてのスピーチ

 引退イベントでは、中畑清前監督、石川雄洋、中村紀洋、後藤武敏、梶谷隆幸らのビデオメッセージが流されたあと、荒波本人からの挨拶が行われた。

 「ファン感謝デーで、このような機会をいただき本当にありがとうございます」と謝辞を述べると、「プロ野球選手になりたいと、小学1年生から野球を始めました。地元横浜でプロ野球選手になれたことが、本当に嬉しかった」と振り返りつつ、「試練や困難もあり、高校、大学、社会人と長い時間がかって諦めかけたこともあった」と、決して順風満帆な人生ではなかったことを明かした。

 しかし、「諦めず、挑戦したからこそ、この世界に入れた」と続け、「高校、大学で礼儀や規律を、社会人で常識や厳しさ」を学んだことで、「人として成長できた」とコメント。遠回りしたからこそ得られたものも多かったことを強調した。

 戦力外になった昨季を振り返った際には、涙をこらえながら言葉に詰まる場面も見受けられたが、「妻、家族、先輩や後輩、仲間やファンの声援やメッセージ、皆さんの支えがなければメキシコ行きは考えられなかった。最後の最後までファンや仲間に支えられた野球人生でした」と語り、気丈にふるまった。

 「諦めず、挑戦し続ければ夢は叶う。決して簡単な道のりではなく、努力が実を結ばないことがほとんどだが、僕自身こうして夢を叶えられた。子供たちにも夢と目標をもって欲しい」と、自分自身の経験を踏まえた上で、未来のプロ野球選手たちにメッセージを送った。

 さらに、「夢や目標を持った人々の役に立って、野球界に恩返しをできるような活動を」と今後の展望を口にし、「人として、野球人として成長し挑戦し続けたい」と、まだまだ歩みを止めないことを宣言。将来的には「ベイスターズのユニフォームを着れたら」との夢を口にした際には、会場から大歓迎の拍手が送られた。

 最後に「筒香選手に、これからも変わらぬ応援をお願いします。継続ではなく挑戦の道を選んだことは素晴らしい」と、メジャーに挑戦する後輩への後押しをファンに求めた。

 会場からは自然発生的に「煌めくフィールド、荒波SHOW!」のテーマがアカペラで拡がり、ケツメイシのカーニバルが場内に流れた際には恒例の“タオル回し”も行われた。ファンに愛された赤い手袋の韋駄天には、「挑戦と夢」を胸に抱き続けることで、青のピンストライプに再び袖を通す夢を叶えてもらいたい。

  
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)

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萩原孝弘

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