◆ 監督推薦でオールスターにも初出場!
広島の床田寛樹投手(24)が11月29日、広島市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2050万円増の推定年俸2700万円でサインした。プロ2年目の昨季は、左肘手術の影響もあり一軍登板ゼロ。本格復帰となった今季は、まさに“有言実行”の復活劇で飛躍のシーズンを送った。
床田は中部学院大を経てドラフト3位で広島入り。1年目の17年4月にプロ初勝利をマークするも、しばらくして左肘の違和感で戦列を離れ、同年7月に靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けた。その後は長いリハビリ生活を経て、18年8月に二軍で実戦復帰。今年は一軍春季キャンプから実戦で結果を残し続け、「まずは開幕ローテーション入り。そこから長くローテーションを守れたら、おのずと結果もついてくると思います」とシーズンの目標を話してくれた。
オープン戦では4試合(3先発)の登板で防御率1.59をマーク。球団が選ぶ“オープン戦MVP”にも選ばれ、巨人との開幕2戦目(マツダ)の先発を託された。
その巨人戦は6回途中4失点で敗戦投手になったが、今季2戦目となった4月6日の阪神戦(マツダ)で1年目の17年4月12日の巨人戦以来、724日ぶりとなる一軍勝利をマーク。続く4月13日のDeNA戦(横浜)ではプロ入り初の完投勝利を達成するなど、3、4月はチームがどん底の中、4勝1敗と救世主的な活躍を見せた。
5月以降は好投が報われない登板が続いたが、ローテを外れることなく安定投球を継続。監督推薦選手として自身初となるオールスター出場も果たした。
後半戦は疲れが見え、8月中旬に一時ファーム調整。それでも、一軍再昇格後は再び安定したゲームメイク能力を発揮し、大手術からの復帰元年を25試合(24先発)登板で7勝6敗、防御率2.96の成績で終えた。
◆ 高橋昂もTJ手術を実施、同期左腕の励みに
イニング数は139回2/3で、規定の143回には惜しくも届かず。それでも、先発投手の重要指標となるクオリティ・スタート(6回以上、自責点3以下)は、24先発で15度達成。この数字はチーム先発陣の中で、大黒柱のジョンソン、大瀬良の16度に次ぐ多さだった。
チームはリーグ4連覇を逃し、70勝70敗3分けの4位。暗い話題も多かったシーズンで、床田の台頭は光明のひとつだった。
手術からの復活劇は同僚左腕への道標にもなった。歳は違えど同期入団の高橋昂也(21)が、同じく左肘を痛め3月中旬にトミー・ジョン手術を実施。床田は自身の経験を伝え、「復帰まで長いけど頑張って」とエールを送った。その高橋昂は早ければ来春にも実戦復帰予定。背番号28の活躍は大きな励みになったはずだ。
春先の言葉通り、1年間ほぼ一軍で働き続けた床田寛樹。来季は規定投球回クリアを果たし、和製左腕エースとしての座を確立してほしいところだ。