入団会見を行ったロッテ・美馬学

◆ ロッテの先発陣を振り返る

 「若く勢いのあるピッチャーがたくさんいて、その中に僕が入ることで、しっかり若手を引っ張っていけたらいいなと思います」、「昔から1イニングに大量失点とかもあった。(ロッテの)打撃陣は、勢いがついたら止まらない。チームとしてはアットホームでいい良い球団だと感じていた。その一員になれたのは嬉しいです」。

 楽天からFA宣言した美馬学がロッテに入団した。美馬は今季25試合に登板して、8勝5敗、防御率4.01。規定投球回(143回)到達者が史上最少の6人にとどまった今季のパ・リーグにおいて、143回2/3を投げてチームをけん引した。則本昂大と岸孝之の二本柱がシーズンを通して活躍できなったなか、楽天をAクラスに導いた功労者のひとりだったことは間違いない。

 今季のマリーンズ先発陣を振り返ると、開幕投手を務めた石川歩、昨季最高勝率のタイトルを獲得したボルシンガー、14年から5年連続で規定投球回に到達していた涌井秀章の“三本柱”への期待値が高かったが、いずれも本来の力を発揮することはできなかった。結果として、前半戦は若手の二木康太、岩下大輝、種市篤暉の3人がローテーションを守り、二木と岩下は一時、カード頭を任されていた。

 後半戦に入り、種市が8月に月間防御率1.61(4試合・28回)をマークするなど、エース級の働きを見せれば、一時はリリーフも経験した石川が完全復調。岩下は故障、二木は調子を落としたものの、佐々木千隼、土肥星也、小島和哉といった若い投手が次々と台頭し、楽天と最後までクライマックス・シリーズ進出をかけて争った。

 ただ、今季1年間ローテーションを守った先発投手は不在。二木の128回2/3がチームトップの投球回数で、規定投球回に到達した投手はいなかった。その意味でも先発ローテーションとして計算できる美馬の加入は大きい。

 井口資仁監督も「若手の見本として引っ張っていってもらいたいのも当然ですけど、1年間ローテーションを守って優勝に導いてほしい」と期待を寄せる。

◆ 2016年以降3度規定投球回到達

 美馬は2016年以降の4年間では3度、規定投球回に到達している。

▼美馬の2016年以降の投球回数
16年:155回(9勝9敗)
17年:171回1/3(11勝8敗)
18年: 79回(2勝6敗)
19年:143回2/3(8勝5敗)

 パ・リーグでは、16年以降4年連続で規定投球回に達した投手はいない。パ・リーグに所属する投手で、この4年間で3度、規定投球回をクリアした投手は、美馬、涌井、有原航平(日本ハム)、千賀滉大(ソフトバンク)、山岡泰輔(オリックス)、菊池雄星(現マリナーズ)、則本昂大(楽天)の7人のみ。名前を見てもわかるように、各球団のエース級が並ぶ。

 自身のパフォーマンスについて美馬は、「本当に1年間、変わらぬことをやり続けることが一番。悪くても良くても、1週間同じ流れでやれているのが、しっかり1年間ローテーションを守れていた理由かなと思います」と説明する。

 そして、美馬の武器のひとつに挙げられるのが、制球力だ。今季143回2/3を投げているが、与えた四球はわずかに24個。今季パ・リーグで規定投球回に到達した投手のなかで、与四球率は「1.50」ともっとも低い。

 四球がシーズン通して少ない理由について美馬は「しっかりストライクゾーンで勝負したいというのと、1年目、2年目に星野監督の教えで四球を出すんだったら打たれろという教えが、強く心に残っている」と明かした。

 若手先発陣が成長を見せている中で、計算のたつ美馬が加わった。先発ローテーションに厚みをもたせるとともに、実績のある美馬の加入は、来季の巻き返しを図るチームにとって、非常に良い補強だったと言えるだろう。的確な補強に加え、成長著しい若手の台頭、この両輪が来季のロッテを支えるはずだ。

取材・文=岩下雄太

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この記事を書いたのは

岩下雄太

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