◆ 森は「永遠のライバル」
2年連続でパ・リーグの本塁打王に輝いた西武・山川穂高が5日、所沢市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1億円アップの2億1000万円でサインした。
提示を受けての感想として、「森に勝った…」とこぼして笑いを誘ったレオの主砲。山川にとって、森友哉は“年下の同期”。ともに2013年のドラフトで指名を受けた選手で、順番としては森が1位・山川が2位だった。
今年の契約更改では、森が山川の前日に1億2000万円増という大幅なアップを勝ち取り、前年の8000万円から2億円に到達。これには山川も「ん…?と思いましたよ」と笑い、「どうなんだ…100万円でもいいから上に…」と思っていたことを明かしたが、フタを開けてみたら山川は森を上回る2億1000万円でサイン。「僕にとっては永遠のライバル。負けなくて良かったです」と胸をなでおろした。
ちなみに、渡辺久信GMによると、「“配慮”?ないです。純粋に評価しました」とのこと。山川については、「数字は去年より下がっているかもしれないが、優勝への貢献度は高い」と、苦しみながらも奮闘した主砲を讃えた。
◆ 伝説の“えいてつメニュー”とは?
それでも、本人としては「全然だめでした」と悔しい1年に。夏場の不振については、「実は3月・4月からずっと良くなくて、それが直せなかったということ」と明かす。
原因としては、「技術的な部分で言えば、ストレートを弾き返すことができなかった」と具体的なポイントを指摘。「バッターとしてそれが一番致命的だった。相手の攻め方が~ということも言われますが、これは自分の問題です。攻め方は関係なく、自分がちゃんとやっていれば打てるボールばかり」と、苦しんだ要因を振り返る。
そこで、このオフは改めて「からだづくり」をテーマのひとつに掲げ、来季の逆襲を期す。なかでも秘策として取り入れているのが、「えいてつメニュー」だ。
「えいてつ」とは、沖縄・中部商高時代の恩師…といっても、陸上部の顧問だったという赤嶺永哲(あかみね・えいてつ)氏のこと。かつてはやり投げの選手として、1992年に山形で行われた『第47回国民体育大会』ではあの室伏広治氏を押さえて優勝。大会新記録も叩き出している。
野球部とはあまり接点はなかったというが、ある日山川が教官室へと押しかけて「メニューをください」と直談判すると、快く対応してくれたのだという。
「『とりあえずメディシンボールを300回上に投げてみろ』とか、とんでもないこと言う方でしたよ」と笑うが、「これまでにいろいろなトレーニングをしてきましたが、一番きつかったですし、一番良いトレーニングだったんですよね」ということで、再び伝説のメニューを実践。この秋のキャンプでも取り入れ、現在は自身の身体の反応をみながら試しているという。
なお、キャンプではライバル・森とも2つほどメニューをやってみたと言うが、「(森は)ぶっ倒れてましたね」と笑顔。「身体あっての技術だなと今年改めて思ったので、もう一度鍛えたいなと。大きくしたいとかではなく、筋肉そのものを鍛えて、バットをしっかり振れる身体にしていきたい」と語り、このオフはさらなる肉体の進化を目指す。
来季の大目標は「3連覇・3年連続ホームラン王、そして日本一」。野球界はすっかりオフシーズンモードに突入しているが、「休みの間で差がつくのかなと思う。良いオフを過ごせれば」と、レオの主砲は早くも来季を見据えている。