“あの夏”から20年以上が経って…
中日を退団した松坂大輔投手(39)が11日、都内で西武への入団会見を行った。
実に14年ぶりの古巣復帰となった“平成の怪物”。横浜高から1998年のドラフト1位で西武に入団した後、球界を代表するエースへと成長を遂げ、2007年からアメリカ・メジャーリーグに挑戦。夢の舞台での戦いは2014年で一旦ピリオドを打つことになり、2015年からはNPBに復帰することになるも、戦いの場は古巣の宿敵・ソフトバンクだった。
新天地・福岡では度重なる故障に悩まされ、3年間でわずか1試合の一軍登板に留まったものの、テストを経て入団を勝ち取った中日で2018年に6勝(4敗)と復活。カムバック賞を受賞する活躍を見せたが、今季は再び故障に苦しんで結果を残すことができず。オフには中日を退団する運びとなる。
そんな紆余曲折もあって、古巣への復帰には時間がかかった。気が付けば平成も終わり、時代は令和に。未だに語り継がれる“伝説の夏”から気が付けば20年以上が経ち、いまプロの舞台で活躍する若手選手の多くは1998年夏の『松坂フィーバー』をリアルタイムで見ていないのだ。
思えば、現在の西武を引っ張る主砲・山川穂高も、先日の契約更改後の会見で松坂の入団について聞かれた際には、「なんと言ったらいいのか……。あの…ゲームで使っていたような方なので…」と率直な感想を吐露して笑いを誘いつつ、「まさかこうやって一緒にプレーできる日が来るとは思っていなかったので、光栄ですし頑張りたいです」と語っている。
“松坂世代”も40歳に
松坂は1980年9月13日生まれ。ということは、“復帰元年”の来シーズン中に「40歳」を迎えることになる。
今季も永川勝浩や實松一成、さらには館山昌平といったところがユニフォームを脱ぐ決断を下し、年々減りゆく“松坂世代”のメンバー。来年は早生まれの和田毅(ソフトバンク)を除く4選手が「40歳」になる。来季もNPBでプレーする40歳以上の選手をまとめると、以下の通りだ。
▼ 2020年のNPB・40歳以上の選手(来年の満年齢)
43歳 福留孝介(阪神/外野手) ☆NPB最年長選手
42歳 山井大介(中日/投手) ☆NPB最年長投手
41歳 能見篤史(阪神/投手)
41歳 五十嵐亮太(ヤクルト/投手)
41歳 石原慶幸(広島/捕手)
40歳 細川 亨(ロッテ/捕手)
40歳 石川雅規(ヤクルト/投手)
40歳 久保裕也(楽天/投手)
40歳 藤川球児(阪神/投手)
40歳 松坂大輔(西武/投手)
40歳 渡辺直人(楽天/内野手)
球界最年長になるのが、外野手の福留孝介。今季も104試合に出場しているように現役バリバリの状態で、バットだけでなく守備でも年齢を感じさせない動きを披露。ここ一番の勝負強さはピカイチで、その存在感は今なお健在だ。
投手の最年長は中日の山井大介。今季はオール先発で13試合に登板して3勝5敗、防御率4.85という成績。負け越しはしたものの、開幕2戦目・3月30日のDeNA戦で勝利投手となり、チームに今季初勝利をもたらすと同時に、与田剛新監督に公式戦初白星もプレゼントしている。
ほかにも、この中で最もプロ入りが早かったヤクルト・五十嵐亮太は、今季から古巣に復帰するとリリーフながら序盤から勝ち星を量産。45試合の登板で5勝1敗、防御率も2.98という力投で苦しい投手陣を支え、同じくヤクルトの石川雅規も、40歳前のシーズンにしてチーム最多の8勝をマーク。こちらも衰え知らずでチームに貢献した。
そして、松坂と同世代の選手で言えば、阪神・藤川球児の奮闘を忘れてはいけない。今季は56試合に登板して4勝1敗23ホールド、防御率は1.77という圧巻の成績。シーズン途中からはかつての定位置だったストッパーも任されて16のセーブを記録するなど、2016年の阪神復帰後最高の活躍を見せている。
まだまだ若い奴らには負けん…。古巣に復帰する松坂大輔はもちろんのこと、来季も頼れるベテランたちの戦いから目が離せない。
文=尾崎直也