契約更改で6000万増の2億円に
プロ野球はオフシーズンを迎え、契約更改の真っ只中。日々、新たな1億円プレーヤーが生まれるなかで、10日には阪神の藤川球児投手(39)が契約交渉に臨み、6000万円増の2億円で更改した。
今季のリーグ戦を3位で終えた阪神だが、リーグトップのチーム防御率を誇るなど、投手陣の頑張りが光った。特に中継ぎ陣の活躍が顕著で、救援陣の防御率2.70はリーグ唯一の2点台。特に、島本浩也(63試合)、ジョンソン(58試合)、守屋功輝(57試合)、藤川球児(56試合)、ドリス(56試合)、能見篤史(51試合)、岩崎優(48試合)らは素晴らしい活躍でチームを救った。
彼らの奮闘がチームのクライマックスシリーズ進出に大きく貢献したことは間違いないだろう。その中でも、特筆すべき活躍を見せたのが、後半戦から守護神を務めた藤川だ。
後半戦から守護神に定着し16セーブを記録
2019年シーズンの藤川は開幕当初、勝ちパターンでの起用はなく、ビハインドでの登板がメインだった。打ち込まれるシーンもあり、4月7日には登録を抹消されるという苦しいスタート。しかし、4月27日一軍へ復帰すると、そこから徐々に調子を上げ、勝ちパターンへと役割が変更する。後半戦に入るとドリスの不振もあり、ついには守護神を任されるようになった。
ドリスの復帰後も役割は変わらず気迫の投球を見せ、今季記録した防御率1.77は、2016年シーズンに阪神復帰を果たしてから最高の数字だ。本人も「精神的なことも人間的な成長も含めれば、今の方が自分は人生として成長できている」と語るなど、充実感を漂わせている。
最終的に、シーズントータルで16セーブをマーク。日米通算243セーブ(日本で241セーブ、米国で2セーブ)まで数字を伸ばし、名球会の入会資格である250セーブまであと「7」に迫った。節目の250セーブは目前。来季も守護神として起用されれば、2020年シーズン中の達成はほぼ確実と言えるだろう。
来季のクローザーに関して、藤川は「自分の中ではそのつもりですし、それが特別ハードルが高いと思ったことはない。それよりは勝つこと」とコメント。守護神としての活躍を見据えつつ、チームのために腕を振り続けることを誓った。
残りわずかとなった松坂世代の中から…
来年の7月に40歳を迎える藤川は、「松坂世代」(1980年4月2日〜1981年4月1日生まれ)のひとり。多くのスター選手たちが活躍した世代だが、村田修一(現・巨人コーチ)、杉内俊哉(現・巨人コーチ)なども名球会(投手として200勝以上、または250セーブ以上。打者として2000安打以上)には届かないままユニフォームを脱いでいる。
最強世代とも謳われた松坂世代から、名球会がひとりも生まれていないのは少し寂しい。日米通算200勝にあと「30勝」としている松坂も11日の入団会見で、「(以前より)達成したい気持ちが強くなってきている」「最後まであきらめずに200という数字を目指してやっていきたい」と語っていた。
いま最も名球会入りに近い藤川は、現役生活最終盤に大輪を咲かせることができるだろうか――。松坂世代最初の名球会入りに期待したい。
▼ 藤川球児(阪神)
<2019年シーズン成績>
56試合(56回) 4勝1敗16S 23H 防御率1.77
<日米通算記録>
NPB:766登板(922回)59勝35敗 241S 162H 防御率2.02
MLB:29登板(26.2回)1勝1敗 2S 1H 防御率5.74