発表会前に同期を笑いで繋ぐ
西武は12日、所沢市内で『2020年度新入団選手発表会』を行い、今秋のドラフト会議で指名された全9選手をお披露目した。
ドラフト5位の柘植世那(つげ・せな)は社会人・Honda鈴鹿を経て入団した22歳の捕手。高校時代は“機動破壊”で旋風を起こした群馬・健大高崎の正捕手として、2年夏から3季連続で甲子園出場。その高校時代、さらには昨シーズンとプロ注目選手に挙げられながらも指名漏れを経験し、社会人4年目にしてようやく憧れの世界にたどり着いた。
今回の西武のドラフト入団選手は、大卒で社会人を経験した宮川(1位)、高卒で社会人に進んだ浜屋(2位)、高卒から独立リーグ1年目で指名された上間(7位)と、多様な経歴を歩んできた選手が集まり、柘植は同期入団の中でちょうど真ん中の世代に当たる。
入団発表会の前に行われた球団施設見学会では、2つ先輩の宮川を始め、4つ下の松岡にまでいじられ、笑いの渦の中心に。本人が「凄いいじられましたね。ありがたいです」と振り返った光景は、まるで現チームのムードメーカー・岡田雅利を彷彿とさせる存在感だった。
熱く、謙虚に、日本一
そんな柘植がプロキャリアで初めて背負う番号は、今季まで岡田が背負っていた37番。「岡田選手がつけていたので負けないように、『37番は柘植だ』と思ってもらえるように頑張りたい」と、新たな背番号への想いを口にした。
こうして見ると賑やかなお祭り男の印象を抱くが、ドラフト5位の社会人捕手として「いち早く活躍しなきゃいけないと感じている」と、話す言葉には熱がこもっている。
発表会では色紙に「日本一の捕手」と目標を記した。「小中高社会人で日本一をとることができなかったので、プロの世界では日本一を目指したい」とまだ見ぬ頂上への思いを口にし、対戦してみたい選手には個人名は挙げずに「対戦するピッチャー全員からヒットを打ちたい」と言葉に力を込めた。
好きな言葉は『実るほど頭を垂れる稲穂かな』。「注目されればされるほど謙虚な気持ちを忘れずにということ。そういう気持ちは常に持っていなければいけないと思う」と、高校時代の恩師・青柳博文監督が話していた言葉を今も胸に抱いている。
西武はリーグMVPに輝いた男が正捕手に君臨。それでも「森友哉選手からたくさんのことを学びたい」と、最強のお手本が待つ状況を前向きに捉えている。全ては「日本一の捕手」になるため。熱い思いを抱く22歳が個性派集団の中でどのような成長を遂げるのか、ただ面白いだけじゃない“謙虚な男”に注目だ。