栗山監督「パワーが魅力。三塁の守備も安定」
日本ハムは5日、前巨人のクリスチャン・ビヤヌエバ内野手との契約合意を発表。ビヤヌエバは球団を通じて「来季も日本で野球を続けられる機会を得たことに感謝する。日本一奪還に貢献できるよう、精一杯努力していく」とコメントした。
ビヤヌエバは巨人でプレーした今季、出場73試合で打率.223、8本塁打、24打点の成績。期待に見合う活躍には至らず、オフに自由契約になっていた。外国人を多く抱えるチーム事情もあり、1年で見限られる形となったメキシコ人内野手。それでも詳細なスタッツを見ると、飛躍する要素も見える。
まずは打率.223のわりに出塁率が.325と高い。計31四死球のうち死球が6つを占めるが、四球を25個選んでおり、選球眼の良さを示すBB%(四球÷打席)という指標は“平均”と言われる8.0%を超える10.6%。OPS(出塁率+長打率)は助っ人としては物足りない.711だが、異国リーグ1年目としては悪くない数字だ。
まだ28歳と若く、さらなる成長が期待できるパワーヒッター。好成績を残した助っ人が他球団に引き抜かれたり、NPBでの実績がある選手が再来日するケースは多々あるが、年俸が下がり、ポジションのニーズに違いはあるとはいえ、来日1年で見限られた選手が、すぐ他球団に拾われるケースは珍しい。
日本ハムはパドレス時代からビヤヌエバを調査。今季は三塁手を固定できなかったチーム事情もあり、栗山監督は「(来日1年目の成績は)不本意なものだったに違いありません。しかし、それが必ず飛躍への糧となると信じています。なんといってもパワーが魅力。三塁の守備も安定しており、安心して任せることができる」と新天地での飛躍に期待を寄せた。
来日1年目の前半戦、打率.186、12本塁打だったレアード
保有選手を最小限にとどめ、少数精鋭でのチーム運営を貫く日本ハム。よって日本人選手同様、外国人選手も粘り強く育成する傾向にある。近年の助っ人成功例のひとりに挙げられるのが、2015年からの在籍4シーズンで計131本塁打をマークしたブランドン・レアード内野手(現ロッテ)だろう。
メジャー通算6本塁打ながら、米マイナーで非凡な長打力を発揮していたレアード。27歳で来日し即戦力の正三塁手として期待されたが、日本野球への適応に時間がかかり、1年目の前半戦は12本塁打を放ったものの打率は.186。打順は7、8番がメインで、9番に入ることもあった。
他球団ならこの時点で見限られ、新たな助っ人補強に舵を切る可能性もある状況。またこのシーズンは、同じく新加入のジェレミー・ハーミッダ外野手も日本野球への適応に苦しみ、夏場は二軍調整。結局、レアードは後半戦だけで22本塁打をマークするなど、全143試合に出場し打率.231、34本塁打、97打点、OPS.789と飛躍。ハーミッダはシーズン終盤に一軍復帰するも、50試合の出場で打率.221、1本塁打、18打点、OPS.607に終わり、1年でチームを去ることになった。
レアードは2年目の16年、打率.263、39本塁打、97打点、OPS.835とさらに成績を上げ、チームのリーグ優勝と日本シリーズ制覇に貢献。3年目以降も貴重な長距離砲としてチームを支えた。
投手では18年に入団し、いきなり開幕投手を務めたブライアン・ロドリゲス投手も、1年目はクイックや細かな対応に苦しみ、わずか9試合の登板で3勝2敗、防御率5.26と低迷。それでも2年目の今季は、第2先発など特殊な起用法も多かったなかで、6勝7敗1セーブ、防御率3.25の成績を残した。
本来の力を発揮できず、巨人を1年で去ることになったビヤヌエバ。助っ人の育成力にも定評のある新天地で、悔しさを晴らすことができるか注目だ。