ロッテ・福田秀平

◆ 福田がロッテに加入

 ロッテに、井口監督をして「走攻守、三拍子揃った選手」と言わしめる福田秀平が加わった。ソフトバンク時代には、2011年から15年にかけて32回連続で盗塁を成功し続けるなど、特に足には自信を持っている。

「自分自身、そこで生きてきたつもりですし、今後もそれを自分の武器としてやっていきたい」

 今季は9個の盗塁にとどまったが、相手投手のモーションを完全に盗み盗塁を決めるなど、技術も高い。井口資仁監督も「足も使える選手ですから、上位で荻野貴司と一緒にかき回して欲しい」と期待を寄せる。

◆ チーム盗塁数アップに期待

 福田が加わったことで、走れる選手が増えたことは大きい。マリーンズで走れる選手を見ると、これまで故障に泣かされることの多かった荻野貴司が今季、シーズン自己最多となる28盗塁をマーク。状況を瞬時に把握し、相手の隙を突く走塁面の評価も高い。今年の10月で34歳となったが、その技術に衰えは感じられない。

 今季チーム2位の13盗塁をマークした岡は、シーズン序盤に走塁ミスが目立ったが、夏場以降は素晴らしい走塁を数多く披露。後半戦は代走での出場が多かったが、「相手ピッチャーの映像を見てしっかり準備してやっている。いきなり塁上に立っていくので、リズムがないというのもあり、スタートを切るイメージを想定して塁上に立つようにしている」と役割を整理し、好走塁を見せていた。

 さらに、昨季リーグ2位の39盗塁を記録した中村奨吾、相手の守備位置をみて積極的に次の塁を狙う藤岡裕大、7月27日の楽天戦でセカンドの捕球体勢を見て、二飛で三塁からホームインした三木亮に、今季途中に加入したマーティン、来季2年目を迎える藤原恭大なども“足”を使える選手たちだ。

 来季から走塁コーチを担当する伊志嶺翔大コーチは、「選手が自信を持って走らないことには、盗塁は成功しないし、半信半疑でいくと盗塁は決まりにくい。走らせなきゃではなく、選手が自信を持ってスタートをきれるようにサポートするだけ」と話し、そのために「ピッチャーの特徴であったり、しっかりと研究してデータを集め、根拠を選手に伝えていけたら」との考えを示している。

 今季のチーム盗塁数は昨季の124盗塁から75盗塁に減少したが、チーム本塁打は本拠地・ZOZOマリンスタジアムに“ホームランラグーン”が設置されたことやレアードの加入もあり、前年の78本塁打から158本塁打に倍増した。その結果、チーム得点数は昨季の534得点から642得点に増えており、ここに“足”を絡めた攻撃が加われば、攻撃のバリエーションと得点数アップへの期待は高まる。

 荻野と共に福田が塁上を賑わすことになれば、これまで以上に相手にとって“いやらしい”チームとなることは間違いない。福田の加入がもたらす効果や如何に――。

文=岩下雄太

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