筒香が空ける「131試合・557打席」
DeNAとタンパベイ・レイズは日本時間17日、筒香嘉智外野手(28)のポスティングによる移籍を正式発表。かねてから抱いていた“メジャーリーガーになる”夢がついに実現する。
2015年から3年連続ベストナイン、16年は本塁打と打点の2冠王。個人成績のみならず、2014年に主将に就任してからは精神的支柱としてチームを牽引。2017年には『横浜DeNAベイスターズ』として初めての日本シリーズ進出に大きく貢献すると、今季はシーズン2位で球団初のCS本拠地開催へと導いている。
これほどの存在が退団するのだから、チームにとって痛手なのは当然だ。
今季の外野陣の成績を並べてみると、規定打席に到達したのは筒香のほかに神里和毅、ネフタリ・ソト(内野登録)という3人。外野手登録では、宮本秀明と青柳昴樹(今オフ自由契約)を除く7選手に30試合以上の出場機会を与えている。
バラエティに富んだ采配を振るう指揮官とあって、来季も相手投手との相性、選手の状態、打線の並びなどによって出場機会がバラける可能性はあるが、今シーズン筒香が立った「131試合・557打席」を巡るポジション争いの激化は必至だ。
有力候補は多数!
そんななか、“ポスト筒香”の最有力候補として名乗りを上げているのが、大卒3年目の佐野恵太。ラミレス監督が「2番筒香」のオプションを使った際に「4番」に指名した男だ。
今季は規定打席未達ながら、89試合に出場して打率は3割目前の「.295」と好成績。登録は「内野手」だが、筒香が三塁に回った際に「4番・左翼」で起用されるなど、指揮官に重宝された。海を渡った先輩同様、長打が期待できる左打者として、来季はさらなる活躍が期待されている。
しかし、この状況を好機と捉えているのは佐野ひとりではない。代打起用が多かった乙坂智、不振に喘いだ桑原将志も候補で、ファームに目を向けてみると、12球団屈指の成績を残した外野手たちが虎視眈々とポジションを狙っている。
【今季「外野」で出場した選手の成績】
▼ ネフタリ・ソト(30歳/2年目)
141試 率.269(516-139)本43 点108
長打率.554 出塁率.348 OPS.902
▼ 筒香嘉智(28歳/10年目)
131試 率.272(464-126)本29 点79
長打率.511 出塁率.388 OPS.899
▼ 神里和毅(25歳/2年目)
123試 率.279(427-119)本6 点35
長打率.407 出塁率.323 OPS.731
▼ 乙坂 智(25歳/8年目)
97試 率.245(159-39)本2 点17
長打率.358 出塁率.313 OPS.671
▼ 佐野恵太(25歳/3年目)
89試 率.295(200-59)本5 点33
長打率.420 出塁率.344 OPS.764
▼ 中井大介(30歳/12年目)
79試 率.248(161-40)本3 点7
長打率.329 出塁率.322 OPS.651
▼ 桑原将志(26歳/8年目)
72試 率.186(102-19)本2 点7
長打率.294 出塁率.259 OPS.553
▼ 梶谷隆幸(31歳/13年目)
41試 率.215(93-20)本5 点15
長打率.430 出塁率.330 OPS.760
▼ 楠本泰史(24歳/2年目)
39試 率.208(72-15)本1 点6
長打率.306 出塁率.296 OPS.602
▼ 細川成也(21歳/3年目)
36試 率.222(72-16)本1 点10
長打率.292 出塁率.313 OPS.605
▼ 関根大気(24歳/6年目)
32試 率.038(26-1)本0 点0
長打率.077 出塁率.074 OPS.151
“横須賀軍”は12球団屈指の破壊力
今季の二軍チームはリーグ3位に終わったものの、チーム本塁打112(126試合)というのは本塁打王・安田尚憲を擁するロッテと並んで12球団1位タイ。OPSでもリーグトップの「.726」をマークするなど、活発な打線が自慢のチームだった。
その打線で光ったのが、強力打線の核を担った外野手たち。一軍との行き来を繰り返した選手が多く、規定打席に到達したのは関根大気ひとりだったが、細川に梶谷、関根の3選手が2ケタ本塁打を放ち、OPSも9割超えの好成績をマークしている。
なかでも印象的だったのが、高卒6年目の関根だ。ここまで一軍で目立った成績を残すことはできていないが、今季は強打の1番打者としてファームで違いを見せつけた。
シーズン最終戦まで巨人・山下航汰と首位打者争いを繰り広げ、リーグ2位の打率.329、自身初の2ケタ本塁打となる12本塁打でパンチ力もアピール。俊足巧打の外野手として入団するも一軍定着はならず、気が付けばプロ6年目が終了。来季こそ“一軍の壁”を打ち破りたい。
また、2年目の楠本泰史も8月29日・楽天戦から17試合連続安打を記録してシーズン終了。年間打率.315というハイアベレージを残して来季に弾みをつけた。
未来の大砲・細川成也は安田尚憲とホームラン王争いを演じるも、その打棒が目に留まる形でシーズン途中に一軍昇格。舞台を横浜スタジアムに移し、いよいよ次のステップへと進みつつある。
そして、プロ14年目を迎える梶谷隆幸も来季のレギュラー候補のひとり。今季は「1番・中堅」で開幕スタメンを果たすも、右肩の故障明けで精彩を欠き二軍降格。5月に二度目の降格を命じられると3カ月間一軍から声がかからなかった。
それでも、ファームで地道に数字を積み上げ、60試合の出場で61安打・13本塁打。OPSも.951の好成績を残しており、シーズン終盤の8月末から一軍に帯同。9月19日・広島戦では最大7点差を追いつく代打満塁ホームランで通算100本塁打を飾っている。
指揮官は筒香が去ったベイスターズの主将候補に梶谷と宮﨑の名を挙げたという。今季は苦しいシーズンだったが、外野手最年長としてチームのまとめ役も求められる立場。来季の巻き返しへかける思いは大きい。
これだけの選手が揃うDeNAだが、今秋のドラフト会議では打撃をアピールポイントに挙げる蝦名達夫(6位・青森大)も指名。レギュラー奪取を目指す選手たちにとっては、またひとりライバルが増えた格好だ。
しかし、首脳陣にとってみれば競争激化は大歓迎だろう。2020年シーズンは誰が外野の3ポジションを守るのか。DeNAのポジション争いに注目だ。
【ファームの主な外野陣・打撃成績】
▼ 関根大気(24歳/6年目)
83試 率.329(304-100)本12 点44
長打率.539 出塁率.407 OPS.946
▼ 細川成也(21歳/3年目)
73試 率.293(270-79)本15 点51
長打率.537 出塁率.367 OPS.904
▼ 楠本泰史(24歳/2年目)
70試 率.315(257-81)本7 点38
長打率.455 出塁率.382 OPS.837
▼ 梶谷隆幸(31歳/13年目)
60試 率.298(205-61)本13 点33
長打率.546 出塁率.405 OPS.951
▼ 宮本秀明(23歳/2年目)
86試 率.232(285-66)本7 点27
長打率.393 出塁率.280 OPS.673