助っ人8人体制は球団史上最多
阪神は21日、ジョン・エドワーズ投手と来季の選手契約を締結したと発表した。
20日には、ジェリー・サンズ外野手との契約締結も発表し、今オフの新外国人獲得選手は、ジャスティン・ボーア内野手、ジョー・ガンケル投手、ロベルト・スアレス投手の計5選手。残留したオネルキ・ガルシア投手、呂彦青投手、ジェフリー・マルテ内野手を含め、来季は球団史上最多となる助っ人8人体制で臨むことになった。
前ソフトバンクのスアレスはNPB経験が豊富だが、先発候補のガンケル、セットアッパー候補のエドワーズ、左右の長距離砲として期待されるボーアとサンズはNPB初参戦。異国での早期アジャストが求められると同時に、4枠しかない一軍メンバー入りを争うことになる。
相乗効果に期待したいところだが、8選手のうち少なくとも4人は、常時、二軍での調整を強いられることになる。パフォーマンスによっては5人以上がファームに滞在する可能性もあり、必然的に二軍戦に出場する日本人選手は減る。
ドラフトでは期待の高卒選手を大量指名
阪神は今年のドラフトで、育成を含め計8選手を指名。1位の西純矢投手(創志学園高)を筆頭に、2位で井上広大外野手(履正社高)、3位で及川雅貴投手(横浜高)、4位で遠藤成内野手(東海大相模高)、5位で藤田健斗捕手(中京学院大中京高)を指名し、高卒中心のドラフト戦略が大きな話題となった。
それぞれが甲子園大会で活躍し、完成度も高めの逸材たち。彼らは1年目から二軍でどんどん試合に出て、経験を積み重ねてほしいところだ。
だがここで、外国人の大量保有が弊害になってしまう可能性がある。助っ人とはいえ、彼らも日本球界へのアジャスト期間は必要。ソフトバンクや巨人のように、三軍制を設けているチームならある程度の出場機会は確保できるが、現状の阪神二軍では、中堅やベテラン含め、日本人選手の出場機会が減少すること必至だ。
先日まで台湾で行われていたアジア・ウインターベースボールリーグでは、2年目外野手の島田海吏が16試合の出場で打率.356、3本塁打、13打点と大活躍。育成1年目捕手の片山雄哉も14試合の出場で打率.390、2本塁打、7打点を記録した。来季から育成契約になる2年目右腕・牧丈一郎は、7試合に救援登板し防御率2.70と好投。他球団のコーチから教わったスライダーに手応えを感じたようで、来季はその精度をさらに高めることが支配下復帰のガキになる。
同じく台湾での武者修行を終えた大卒2年目内野手の熊谷敬宥は、今季二軍戦で421打席を消化。高卒1年目内野手の小幡竜平は同340打席を消化し、彼らには来季以降も継続的に出場機会を与え、飛躍を待ちたいところだ。
もちろん、試合に出ることだけが成長への道ではないが、広島の鈴木誠也、巨人の岡本和真、今季の新人王に輝いたヤクルトの村上宗隆など、ライバル球団の主力に成長した野手たちは、高卒1年目から二軍で試合に出続け、その後の飛躍につなげた。今年のドラフトで加入した井上や遠藤も、阪神では長らく現れていない高卒スター野手の可能性を十分に秘める。だからこそ繰り返しになるが、外国人選手の大量保有が若手の成長の妨げになるではないかと危惧する。