◆ ボール球に手を出さず、投手にとって厄介な福田
得点力不足に苦しみ、パ・リーグ最下位に沈んだ2019年のオリックス。今オフはメジャーでの実績豊富なアダム・ジョーンズ外野手、マイナー通算174本塁打のアデルリン・ロドリゲス内野手を獲得するなど、攻撃力アップの期待が膨らむ。
西村徳文監督は「バリバリのメジャーリーガー。打線が厚くなる」とジョーンズ加入を歓迎。今シーズン打率.322、29本塁打、85打点、OPS(出塁率.413+長打率.543).956の高成績を残した主砲・吉田正尚との“新3、4番”に期待を寄せながら、「100得点アップしないと勝負にならない」と来季への展望を口にした。
得点力向上のためには、その前を打つ打者の働きが重要になる。近年のウイークポイントであり続ける1、2番の固定こそ、浮上への重要課題だ。
適任者はいる。プロ入り2年目ながらキャプテンとして二塁のレギュラーに定着した福田周平だ。今季は主に1番として135試合に出場。打率こそ.250だったものの、出塁率は.342を記録した。選球眼の良さを示すBB%(四球÷打席数)という指標では、優秀の部類に入る10.6%をマーク。また、ボールゾーンスイング率は、リーグ1位の西川遥輝(日本ハム/16.7%)に次ぐ17.1%を記録し、リードオフマンとしての適性を示した。
自慢の足でもリーグ2位タイとなる30盗塁をマークしたものの、盗塁死はリーグワーストとなる14。牽制死や走塁死も多く、自滅するシーンが目立った。来季は今季の反省を活かし、成功率を上げてほしいところ。そうすれば福田自身の得点数も増え、それがチームの得点力アップに直結する。
◆ 盗塁数&犠打数は得点力アップに反映されず…
今季は主に中堅を守り、来季は三塁コンバートも視野入れる宗佑磨も楽しみな存在。今季は打撃不振で出遅れたものの、8月は月間打率.350、9月も同.284を記録するなど、来季への期待を抱かせてくれた。
今シーズン終盤のスタメンは、1番・宗、2番・福田の形も多かったが、お互いの長所を活かすなら、1番・福田、2番・宗の形がベストか。出塁率の高い福田が塁上で相手バッテリーに警戒される中で、非凡な長打力を秘める宗のロングヒットで一気に生還。中軸に依存せず、1、2番のふたりで得点できる形が理想だ。
また、今季序盤に2番を務めた西浦颯大、野手転向2年目で高い身体能力を示した佐野皓大、新人ながら非凡な打撃センスを披露した中川圭太らの成長にも期待。来季こそ1、2番を固定し、新しい中軸の破壊力を見せたいところだ。
今季のオリックスは、チーム打率.242、同出塁率.309、同得点544と、いずれもリーグ最下位。一方で、機動力野球を掲げた西村監督の下、リーグ2位の122盗塁を記録したが、同ワーストの59盗塁死と失敗も目立った。また、犠打数も101でリーグ1位だが、機動力と犠打数は得点アップに反映されなかった。「100得点増」実現のためには、指揮官の舵取りも重要になってくる。