2019年は両リーグとも2年目の選手が受賞
元号が令和に変わってから初めての年越しも終わり、オリンピックイヤー「2020年」が開幕。10年区切りで見ると新たな時代のはじまりとなるだけに、これまで以上に新星の台頭に期待が高まる。
プロ野球における“新星”を讃える表彰と言えば、各リーグの最優秀新人賞、いわゆる「新人王」がある。文字通りその年に最も活躍を見せたルーキーに与えられるタイトルで、チャンスは生涯一度きり。選出者は記者の投票によって決定する。
ただし、ひと口に“ルーキー”と言っても、プロ1年目の選手に限ったことではないのはファンの間でもお馴染みだろう。現に昨年の新人王はパ・リーグが高橋礼(ソフトバンク)、セ・リーグは村上宗隆(ヤクルト)。ともにプロ2年目の選手だった。
一体どのように“ルーキー”を線引きしているのか。実は新人王の資格があるか否かについては、明確な規定がある。以下をご確認いただきたい。
【新人王資格】
・海外のプロ野球リーグに参加した経験を持たない選手。(※国籍は問わず)
・初めて支配下登録されてから5年以内の選手。
・前年までの出場が30イニング以内の投手、または60打席以内の野手。
上記の条件を満たしている選手は、全員2020年の新人王を受賞する資格がある。特に開幕前に予想などをする時には、どうしても2019年秋のドラフト会議で指名されたプロ1年目の選手から選んでしまいがちだが、隠れた“穴”候補となるのがすでにプロの舞台で経験を積んだ選手たちなのだ。
そこで、今回は新人王の資格を残しているプロ2年目以降の選手のなかで、主な候補となりそうな選手を何名かピックアップして取り上げてみた。今回はセ・リーグ編。
筒香の穴を埋める?ハマの大砲候補
▼ 伊藤裕季也(DeNA/大卒2年目)
[昨季成績]
・一軍: 21試 率.288(52-15) 本4 点7
・二軍: 91試 率.241(303-73) 本14 点46
セ・リーグの野手では、DeNAの伊藤裕季也が候補として挙げられる。
ルーキーイヤーの昨季も一軍で21試合に出場し、放った15安打のうち実に4本が本塁打。持ち前のパワーをアピールして見せた。
主戦場となる二塁のポジションは、チームにとっても確固たるレギュラーがいない部分。オフには筒香嘉智がメジャーリーグへ挑戦することが決まり、攻撃力の低下は避けられないなか、もし伊藤が二塁のレギュラーにハマれば、「二塁」「得点力」というふたつの課題を解消することができる。新人王というタイトルを抜きにしても、伊藤にとっては勝負の年となるだろう。
大舞台を経験した巨人期待の右腕
▼ 戸郷翔征(巨人/高卒2年目)
[昨季成績]
・一軍: 2試(8.2回) 1勝0敗 防2.08
・二軍: 11試(42回) 4勝1敗 防3.00
投手では、巨人の2年目右腕・戸郷翔征が筆頭候補。昨季はドラフト6位の高卒ルーキーながらシーズン終盤に一軍デビューを果たすと、2試合に登板してプロ初勝利もマーク。ポストシーズンでの登板も経験するなど、実力でチャンスを掴み、多くの経験を積んだ。
巨人も山口俊のメジャーリーグへ挑戦により、先発ローテーションに空きができる。過去の傾向を見ても投手、それも先発が有利な新人王レースだけに、戸郷にとっては大きなチャンスとなりそうだ。
▼ 山口 翔(広島/高卒3年目)
[昨季成績]
・一軍: 9試(26回) 1勝3敗 防4.85
・二軍: 16試(93.2回) 6勝6敗 防4.42
▼ 島内颯太郎(広島/大卒2年目)
[昨季成績]
・一軍: 25試(28.2回)0勝0敗 防4.40
・二軍: 18試(21回)0勝1敗3セーブ 防2.57
また、投手では広島の2人にも注目。佐々岡真司新監督の下、山口は先発で、島内はリリーフで一軍定着に期待がかかる。
チームにはドラフト1位で大学No.1投手の呼び声高い森下暢仁(明治大)が入ってくるが、その存在も若手投手たちには大きな刺激となるに違いない。競争が激化することで互いに刺激し合い、チーム内で新人王を争うようなハイレベルな戦いになれば、チームの順位も上がってくることだろう。
平成の新人王まとめ
<セ・リーグ>
2019年 村上宗隆(ヤクルト/内野手) ※2年目
2018年 東 克樹(DeNA/投手)
2017年 京田陽太(中日/内野手)
2016年 高山 俊(阪神/外野手)
2015年 山崎康晃(DeNA/投手)
2014年 大瀬良大地(広島/投手)
2013年 小川泰弘(ヤクルト/投手)
2012年 野村祐輔(広島/投手)
2011年 沢村拓一(巨人/投手)
2010年 長野久義(巨人/外野手)
2009年 松本哲也(巨人/外野手) ※3年目
2008年 山口鉄也(巨人/投手) ※3年目
2007年 上園啓史(阪神/投手)
2006年 梵 英心(広島/内野手)
2005年 青木宣親(ヤクルト/外野手) ※2年目
2004年 川島 亮(ヤクルト/投手)
2003年 木佐貫洋(巨人/投手)
2002年 石川雅規(ヤクルト/投手)
2001年 赤星憲広(阪神/外野手)
2000年 金城龍彦(横浜/内野手) ※2年目
1999年 上原浩治(巨人/投手)
1998年 川上憲伸(中日/投手)
1997年 沢崎俊和(広島/投手)
1996年 仁志敏久(巨人/内野手)
1995年 山内泰幸(広島/投手)
1994年 藪 恵市(阪神/投手)
1993年 伊藤智仁(ヤクルト/投手)
1992年 久慈照嘉(阪神/内野手)
1991年 森田幸一(中日/投手)
1990年 与田 剛(中日/投手)
1989年 笘篠賢治(ヤクルト/内野手)