ニュース 2020.01.05. 15:00

佐々木や奥川はどうなる…?近年の「高卒ドラ1」+「3球団以上競合」投手の1年目

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ロッテ・井口監督とドラフト1位・佐々木朗希

令和初ドラフトで注目浴びた2人の怪物


 年が明け、長かったオフもいよいよ出口が近づいてきた。

 2月1日の球春到来を前に、1月からは各チームで新入団選手たちによる合同自主トレがはじまる。やはり注目を集めるのは、4球団競合の末にロッテへと入団した“令和の怪物”・佐々木朗希だろう。

 甲子園には未出場でありながら、全国にその名を轟かせた持ち前の速球、その最速は163キロとも言われている。まだ未完成との声が多く、井口資仁監督も「世界に羽ばたける投手」とその素材を絶賛。これからプロの世界でどんな投手に成長していくのか、大きな注目が集まる。

 また、佐々木とは対照的に甲子園での活躍で大きな注目を浴びたのが、3球団競合の末にヤクルトに入団した奥川恭伸。まだ表情にあどけなさも残る高卒の投手でありながら、マウンド上で見せる落ち着きぶりと投球の完成度の高さは社会人球界のエースのような風格をまとい、「1年目から使える」という声も挙がる逸材。将来の日本球界を背負って立つであろう2人のキャリアの第一歩、やはり見逃せない。


 ただし、当然ながら“高卒”の選手は即戦力としての期待よりも、数年後の主力として期待されての入団がほとんど。1年目の途中から頭角を現してくる選手は珍しくないが、開幕からバリバリ戦力でというとかなりサンプルが限られてくる。

 それでも、複数球団が1位で競合してでも獲得に乗り出すほどの逸材だけに、やはり1年目からの活躍に期待する声が大きいのも事実。というわけで、今回は近年の高卒投手のなかで「ドラフト1位」+「3球団以上競合」という条件を満たした選手に注目。自由獲得枠のなくなった2005年以降に絞り、鳴り物入りでプロ入りした高卒投手のルーキーイヤーを調べてみた。


記憶に新しい田中将大の大活躍


▼ 2006年・田中将大(楽天/4球団)
[1年目] 28試(186.1回) 11勝7敗 防3.82


▼ 2007年・佐藤由規(ヤクルト/5球団)
[1年目] 6試(29.2回) 2勝1敗 防4.55


 高校生と大学・社会人の分離方式となった2006年のドラフト会議では、駒大苫小牧高のエース・田中将大に4球団が入札。楽天が見事に当たりくじを引き当てた。

 当時はまだ球団創設から間もなく、戦力的に苦しかった事情もあり、田中は高卒1年目から先発ローテーションに抜擢。いきなり11勝をマークして、新人王にも輝いた。


 その翌年には、仙台育英高の佐藤由規に田中を超える5球団の指名が集中。引き当てたヤクルトはまずは二軍でじっくり育成する方針を選び、終盤戦の8月30日に一軍デビュー。初戦こそほろ苦いデビューとなるも、最終的には2勝1敗とひとつの勝ち越しでルーキーイヤーを終えた。


1年目の起用法はチーム次第


▼ 2009年・菊池雄星(西武/6球団)
[1年目] 一軍登板なし


 2009年のドラフトでは、花巻東の快速左腕・菊池雄星に対して6球団が1位指名。西武が当たりを引き当てる。

 ただし、1年目は故障もあって一軍登板ゼロ。2年目以降も一軍での登板機会はもらいながら思うような結果を残せずに苦しんだが、2016年にその才能が開花。3年続けて結果を残し、メジャー挑戦の夢を叶えた。


▼ 2012年・藤浪晋太郎(阪神/4球団)
[1年目] 24試(137.2回) 10勝6敗 防2.75


 2012年には、大阪桐蔭高のエースとしてチームを甲子園の春夏連覇に導いた藤浪晋太郎が登場。4球団競合の末、聖地を本拠地にする阪神が獲得に成功した。

 すると、こちらは1年目から先発ローテーションの一角を任され、田中将大以来となる高卒ルーキーの2ケタ・10勝をクリア。惜しくも新人王には届かなかったが、新人特別賞に輝く活躍を見せた。


▼ 2013年・松井裕樹(楽天/5球団)
[1年目] 27試(116.0回) 4勝8敗3ホールド 防3.80


 藤浪が1年目の戦いを終えた秋、その藤浪を超える5球団の1位指名を受けたのが桐光学園高の松井裕樹。楽天が田中将大以来となる高卒の大物を射止めた。

 こちらも1年目から一軍を主戦場に27試合に登板。先発だけでなく中継ぎも経験するなど、4勝8敗と負け越しはしたものの実り多きルーキーイヤーを送り、2年目以降の大ブレイクのキッカケを掴んだ。


▼ 2015年・髙橋純平(ソフトバンク/3球団)
[1年目] 一軍出場なし


 佐々木と奥川の前に3球団以上で競合した高卒投手と言うと、2015年の髙橋純平までさかのぼる。

 こちらは12球団屈指の層の厚さを誇るチームに入ったこともあり、1年目はじっくりと育成の方針。一軍登板はなかったが、ファームでは7試合の登板で2勝1敗、防御率2.22の好成績を残していた。


 ご覧のように、大物の高卒投手の扱い方はチームによってさまざま。予想されていた方もいたかもしれないが、その当時のチーム事情による部分が大きかった。

 それでいくと、佐々木の場合はロッテは今オフにFAで美馬学を獲得し、若き先発投手も芽を出してきているだけに、無理に開幕から一軍でという可能性はかなり低い。じっくりと育てつつ、頃合いを見てシーズン終盤にデビューも…?というくらいのイメージになるだろう。

 一方、奥川のヤクルトは投手陣に不安を抱えているチーム。2位以下で即戦力投手を立て続けに獲得したように、とにかく使える投手を確保したいという狙いが垣間見えた。となると、キャンプやオープン戦のアピール次第では、奥川にもチャンスは十分にあるだろう。いきなりのローテーション入り、田中将大のような活躍も夢ではない。

 また、奇しくもこの“怪物”たちに共通しているのが、ロッテは井口資仁監督、ヤクルトは高津臣吾監督と、ともにMLB経験者の監督が率いるチームに入団したこと。従来の概念にとらわれない起用法となることも考えられるだけに、その点も楽しみだ。

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