2274安打、369盗塁は球団歴代2位
1月17日に高木守道氏が急性心不全で亡くなった。数日前にはラジオ番組にも出演しており、まさに突然の訃報となっている。
中日の指揮を執る与田剛監督は「叱られながらも使っていただいた」と、現役時代を思い返しながら感謝のコメントを残し、巨人の原辰徳監督も「良きライバルとして、多くのことを教えていただきました」と追悼のコメントを出した。
そんな高木氏は、1960年のプロ入りから現役引退する1980年までの21年間で2282試合に出場、2274安打、369盗塁を記録。「ミスタードラゴンズ」とも呼ばれ、安打数は立浪和義(2480安打)、盗塁数は荒木雅博(378盗塁)に次いで、ともに中日の球団史上2位の数字だ。
周囲から「瞬間湯沸かし器」と呼ばれたほどの短気な性格だったという逸話も多いが、2006年には野球殿堂入り。日本プロ野球界のレジェンド的存在だということは、誰しもが認めるところ。
そんな高木氏は、その他にも球史に名を残している。そのひとつが「ベストナイン」の受賞に関するものだ。
36歳3カ月での受賞は二塁手最年長記録
高木氏は現役時代に7回にわたって、二塁手として「ベストナイン」を受賞している。これは2リーグ制以降、歴代の二塁手のなかでも史上最多の受賞回数となる。
2014年にNPB80周年企画の一環として、各ポジションの最多受賞者がNPB80周年ベストナインとして発表されたが、そのなかで1リーグ時代を含めると同じ7回の受賞を誇る千葉茂(巨人)と二塁手部門で表彰されている。
また、連続受賞記録も保持している。その他の野手を見ると、捕手は野村克也(南海/13年)、一塁手は王貞治(巨人/18年)、三塁手は長嶋茂雄(巨人/17年)、遊撃手は松井稼頭央(西武/7年連続)、外野では張本勲(東映/11年)がそれぞれ最長記録を保持。いずれもそうそうたるメンバーだが、二塁手では高木氏の5年連続(1963年から1967年)が最長記録となっている。
▼ ベストナイン連続受賞記録
捕 手:野村克也(南海/13年)
一塁手:王 貞治(巨人/18年)
二塁手:高木守道(中日/5年)
三塁手:長嶋茂雄(巨人/17年)
遊撃手:松井稼頭央(西武/7年)
外野手:張本 勲(東映/11年)
高木氏にとって最後のベストナイン受賞となった1977年から、43年が経過している。その後にも名二塁手は多く誕生しているが、5年以上連続してベストナインに輝くほどの実績を残した選手はいない。また、その1977年は36歳3カ月での受賞となったが、これはセ・リーグの二塁手としての最年長受賞記録でもある。
高木氏は二塁手のベストナインにおいて、受賞回数、連続での受賞記録、セ・リーグの最年長受賞記録を保持しており、世代を超え歴代でも屈指の存在だったことがよくわかる。偉大なる功績を再確認するとともに、追悼の意を表したい。
【選手詳細】
▼ 高木守道(中日)
試合数:2282
打 率:.272(8367-2274)
本塁打:236
打 点:813
盗塁数:369
※盗塁王3回、ベストナイン7回、ダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)3回
※2006年野球殿堂入り、2014年NPB80周年ベストナイン選出