人材育成の一環
西武は30日、同球団の久保田治トレーナーをルートインBCリーグ(東地区)の埼玉武蔵ヒートベアーズに派遣することを発表した。契約期間は、2月1日~10月31日まで。業務はトレーナーだけではなく、リハビリや筋力と体力要素の向上を図るストレングスとコンディショニングなど多岐にわたる。球団に籍をおきながらトレーナーを他球団に派遣するのは初の試みだ。
球団本部長補佐でメディカル・コンディショニンググループのディレクターを兼ねる広池浩司氏は「独立リーグは、NPBとは球場の環境もトレーナーを取り巻く環境も異なる。久保田はNPB球団以外でのチーム経験がないので、新しい世界を経験し、その中で試行錯誤することが今後ライオンズに良い影響を与えるのではないかと思った」と狙いを語る。
さらに、リハビリやストレングス・コンディショングの視点からも選手をサポートすることで、「より視野が広がり、久保田がライオンズに戻った際は、いままで以上にメディカル・コンディショニンググループ内でいい連携が取れるようになる」(広池氏)と期待を膨らませる。
地域に根ざした新たな取り組み
西武は2017年に事業ビジョンを策定し、その中で「チーム/育成の強化」を謳っている。昨年は新室内練習場「ライオンズトレーニングセンター」と新選手寮が完成。さらには帝京大学と業務提携を結び、スポーツ医科学の専門的知見から選手の栄養管理を強化するなど、選手を取り巻く環境の整備を推し進めてきた。
そして今季は、メディカル・コンディショニング部門に新たに6人の新戦力を迎え入れている。今後もスタッフの外部への派遣を検討しており、人材育成を多角的に行っていく方針だ。
埼玉武蔵ヒートベアーズの今井英雄球団代表も、「NPBを目指し日々研鑽している埼玉武蔵ヒートベアーズの選手にとって、NPBを肌で感じる素晴らしい機会。球団としては、これをご縁に、同じ埼玉県内のプロ野球チームとして、野球を通じた地域貢献活動を共に展開できたら」と、今回の取り組みを歓迎している。
昨年のドラフト会議では、独立リーグから3選手を獲得した西武。地域に根ざした新たな取り組みで、野球界全体のレベルアップにも寄与する、そんな可能性を今回の派遣は秘めているのかもしれない。
▼ 久保田治トレーナーのコメント
「今回、球団からこのような話をもらって、自分のスキルアップにつながると感じました。今シーズンは埼玉武蔵ヒートベアーズで、今自分がもっている力を発揮してチームに貢献できたらいいと思っています。ヒートベアーズでの経験を通して、様々な人の気持ちが理解できるようになり、ライオンズに戻った時は皆の橋渡しのような存在になれればと思います」