256打者と対戦し被本塁打わずか1本
昨季リーグ5位に沈んだ日本ハムにあって、正二塁手に定着した渡邉諒とともに飛躍した若手として挙げられるのが、救援右腕の玉井大翔だろう。
地元・北海道常呂郡佐呂間町出身の玉井は、旭川実高、東農大北海道オホーツク、新日鉄住金かずさマジックを経て、2016年のドラフト8位で日本ハム入り。1年目から24試合に登板し、2年目は40試合。3年目の昨季はチーム最多の65試合に登板し、2勝3敗11ホールド、防御率2.61の好成績を残した。
登板数は1年目から右肩上がり。疲労の蓄積が心配されるが、「今のところ、自分では感じてはいないです」と順調なキャンプを送っている。
昨季はリード、同点、ビハインドと様々な状況で腕を振り、登板数はパ・リーグ3位。65試合登板で256打者と対戦したが、打たれた本塁打はわずか1本だった。右打者に対する被打率は.213。内角に食い込むシュートを武器に“右キラー”としても知名度を上げた。まさにフル回転の働き。球団からは「タフな場面でよく投げてくれた」と労われ、昨年12月の契約更改では大幅昇給を勝ち取った。
東京五輪で侍ジャパンを指揮する稲葉監督が、2月3日に日本ハムキャンプを視察。情報交換した栗山監督は「ひとりでも多く選んで下さいね」と要望した。玉井自身に五輪出場への意欲を問うと、「考えたこともないです。そんな選手じゃないですよ(笑)」と謙遜。だが、昨シーズン残した数字は代表に相応しいものだ。
4年目のシーズンに向けては、「中継ぎをやっている以上、勝ち試合で多く投げたい」と勝ちパターン定着に意欲的。「これまでいろんな場面で使ってもらって、いろんなことを経験させてもらいました。それを噛み砕きながら、日々の練習に取り組んでいます」とさらなる高みを目指す。
ドラフト8位から這い上がって来た地元期待の27歳。日本ハムのリリーフエースを経て、いずれは代表ユニフォームに袖を通す日が来るはずだ。
取材・文=上村祐作