ニュース 2020.02.04. 17:45

初実戦で早くもバチバチ!山口俊が去った巨人の“先発枠サバイバル”

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巨人・髙橋優貴 (C) Kyodo News

山口俊の穴を埋めるのは…?


 3度目の登板となった原辰徳監督の下、5年ぶりにセ・リーグの頂点に返り咲いた巨人。2020年はリーグ連覇、そして昨年届かなかった日本一を目指しての戦いとなるが、その道のりは決して平坦なものではない。

 かねてから大黒柱・菅野智之の大きな力に頼りがちな面が指摘されていた先発陣において、昨季は最多勝・最多奪三振・最高勝率の投手三冠に輝く大活躍を見せた山口俊がメジャー挑戦のため退団。シーズンを通してコンディション不良に苦しんだ菅野に代わってエース級の働きを見せた右腕がいなくなってしまうのは、チームにとって大きすぎる痛手だ。

 加えて、ストーブリーグではFA宣言した美馬学の獲得に乗り出すも、争奪戦の末にロッテに敗れた。比較的計算の立ちやすい国内からの補強ができなかったという点も、不安を増幅させる要素となっている。

 ドラフトも将来を見据えた素材型の指名が中心となり、先発陣の補強というと、韓国リーグで17勝を記録したエンジェル・サンチェスくらい。獲得に至るまでにはメジャー球団との争奪戦になったという話もあるほどで、その実力には大きな期待がかかるものの、やはり助っ人には未知数な部分も多い。課題を解消するためには、現有戦力の奮闘が大きなカギを握る。


2年目左腕が上々の滑り出し


 そんな中、チームは2月4日に早くも紅白戦を行った。今季初の実戦は一軍(白組)vs.ファーム(紅組)という構図で行われ、阿部慎之助二軍監督のデビュー戦という部分にも注目が集まっていた。

 この試合で白組の先発マウンドに登ったのが、プロ2年目の左腕・髙橋優貴。東海大菅生高から八戸学院大を経て、2018年のドラフト1位で巨人に入団。ルーキーイヤーの昨季は開幕からローテーションの一角を勝ち取り、18試合の登板で5勝7敗、防御率3.19という成績。日本シリーズでも登板を果たすなど、1年目から多くの経験を積んだ。

 昨オフに変更となった“背番号26”のお披露目となったマウンドでは、先頭の湯浅大に二塁打を浴び、犠打で一死三塁といきなりピンチを招いたものの、増田陸を捕邪飛に斬り、24歳の育成選手イスラエル・モタは見逃し三振でピンチ脱出。初登板でピンチを乗り越え、まずは無失点で2020年のスタートを切っている。


高卒2年目・19歳右腕も負けじと…


 2回表、髙橋の後を継いだのが、こちらもプロ2年目の戸郷翔征だ。

 2018年ドラフト6位での入団ながら、高卒1年目から一軍デビュー。勝てば優勝が決まるという9月21日のDeNA戦でプロ初登板・初先発を飾ると、初白星こそならなかったものの5回途中2失点の力投でチームの優勝決定に貢献した。

 次戦は先発ではなかったが、嬉しいプロ初勝利もゲット。その後のクライマックスシリーズ、日本シリーズでも登板を果たすなど、高卒1年目の終盤から一軍の戦力として存在感を見せている。

 こちらもオフに心機一転、大幅に若返った「13」の新背番号をお披露目。髙橋と同じように先頭打者に安打を許したものの、一軍経験も豊富な吉川大幾、立岡宗一郎を立て続けに斬り、最後も田中貴也を三邪飛に打ち取って無失点で切り抜けた。


サバイバルは始まっている!


 期待の“プロ2年目”組が順調な滑り出しを見せたなか、その後も注目の投手が次々に登場してくる。

 3番手には、右肘の手術を行った影響で昨季は5試合の登板(うち先発3試合)に留まった畠世周。安打に四球が絡んで3失点と内容的には厳しかったが、今季の復活に向けてまずはこの早い時期から登板することができた。

 さらに、2017年のドラフト1位・鍬原拓也や、昨季途中から巨人にトレード移籍して一軍で白星も挙げている古川侑利、高卒4年目の髙田萌生といったところが白組のマウンドに登場。起用法は不明だが、このあたりもアピール次第では争いに割って入って来ても不思議ではない。

 戦いのゴングはすでに鳴った。あとはこの中で誰が生き残り、開幕ローテのイスを掴むのか。リーグ連覇のカギを握る、巨人の先発枠をめぐる争いから目が離せない。


▼ 2019年・巨人投手陣の先発回数
26試合:山口 俊(退団)
22試合:C.C.メルセデス
19試合:菅野智之
18試合:髙橋優貴
17試合:桜井俊貴
15試合:今村信貴
10試合:テイラー・ヤングマン(退団)
3 試合:畠 世周
2 試合:澤村拓一
2 試合:田口麗斗
1 試合:戸郷翔征
1 試合:野上亮磨
1 試合:スコット・マシソン(引退)
1 試合:ライアン・クック(退団)
1 試合:髙田萌生
1 試合:古川侑利


文=尾崎直也

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