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セ・リーグを左右する?巨人と阪神にやってきた“韓国経由”助っ人

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新助っ人のサンズ (C) Kyodo News

虎の打線に救世主…?


 2月1日、ついに幕を開けたプロ野球の春季キャンプ。3月20日に開幕する新シーズンに向けた戦いが本格的にスタートした。

 キャンプの楽しみと言えば、やはり期待の新戦力の動きだろう。まだ“本番”までは1カ月以上も時間があるとはいえ、早いうちに良いところを見せてくれるならばそれに越したことはない。


 多くのチームが初の休日を迎えた2月5日、阪神はこの日が第1クールの最終日。野手組は実戦を想定したケースバッティングを行い、そこで期待の新助っ人が実力の片りんを発揮した。

 まずはMLBのロサンゼルス・エンゼルスからやってきた左の大砲ジャスティン・ボーア。メジャー通算92発の実績を誇るパワーヒッターは、キャンプ序盤から「バース級」や「バースの再来」といった文字が躍るほど大きな期待をかけられ、打線の起爆剤として大きな注目を集めていた。

 そのボーアは今季初実戦となる打席に入ると、一死三塁というケースで伊藤和雄からセンターへ弾き返す適時打。まずは軽打で魅せると、第2打席では同じ一死三塁から外寄りの速球を逆らわずに打ち返し、左中間スタンドに放り込む見事な一撃。挨拶代わりにアーチを描いて見せ、初実戦で大きなインパクトを残した。


 続いて、今度は右の外野手ジェリー・サンズが登場。こちらはメジャーでの実績こそないものの、マイナーでは通算180本塁打をマーク。昨季は韓国リーグ(KBO)のキウム・ヒーローズ(前ネクセン)で打率.305・28本塁打を記録し、リーグ最多の113打点を叩き出す活躍を見せている。

 サンズも伊藤和雄との対戦で最初の打席は三ゴロ、第2打席は四球と快音は響かなかったが、第3打席で左翼線を痛烈に破っていく適時二塁打をマーク。直前のボーアに負けじと仕上がりの良さ、そして実力を見せつけ、首脳陣にアピールした。

 阪神と言えば、打線の破壊力不足が嘆かれて久しい。昨季も投手陣はリーグNo.1のチーム防御率(3.46)を記録しているのに対し、打線はチーム打率(.251)こそリーグ4番目の数字も、得点(538)はリーグ最少。やはり打線の強化が不可欠で、この2人の新助っ人にかかる期待は大きい。


ロサリオは期待に応えることができず…


 同僚となったボーアや、同じ関西圏のオリックスにアダム・ジョーンズなど、このオフはMLBからの大物がやってきたこともあり、彼らと比べると注目度という点ではやや見劣りしていたサンズ。しかし、韓国リーグから日本のプロ野球へという移籍も近年はあまり珍しくなく、今オフも野手はサンズのみだが、投手では巨人にエンジェル・サンチェスが加入した。

 サンチェスも韓国リーグでは昨季リーグ2位の17勝を挙げ、防御率も2.62という好成績を残しており、このオフはメジャー球団からも注目を集めていたという。巨人にとってはこの選手が期待通りの活躍を見せ、先発の枠にがっちりとハマってくれるかどうかが、リーグ連覇のカギを握る。

 韓国から巨人と阪神にやって来た救世主候補は、その実力を日本でも発揮することができるのか。ここでは直近10年のうちにKBOのチームからNPBのチームに加入した助っ人を振り返ってみたい。まずは野手から。


【直近10年・KBOからNPBに移籍した選手】

<野手>
▼ ロベルト・ペタジーニ
・2009年=LG
115試 率.332(388-129)本26 点100 盗2 ☆最高出塁率(.468)

・2010年=ソフトバンク
81試 率.261(264-69)本10 点41 盗0


▼ ヤマイコ・ナバーロ
・2015年=サムスン
140試 率.287(534-153)本48 点137 盗22

・2016年=ロッテ
82試 率.217(286-62)本10 点44 盗0


▼ ウィリン・ロサリオ
・2017年=ハンファ
119試 率.339(445-151)本37 点111 盗10

・2018年=阪神
75試 率.242(281-68)本8 点40 盗0


▼ ジェリー・サンズ
・2019年=キウム
139試 率.305(525-160)本28 点113 盗1 ☆最多打点

・2020年=阪神
???


 さかのぼるとタイロン・ウッズ(横浜・中日で活躍)やホセ・フェルナンデス(複数球団で11年プレー)といった活躍選手を輩出しているKBO経由の野手だが、この10年で見ると彼らに匹敵するような“当たり”は出てきていない。

 ひとつ目の例で出てきたペタジーニに関しては、先にNPBでの活躍(ヤクルト⇒巨人)があり、その後メジャーに復帰を果たすも、マイナーリーグとメキシカンリーグを経て韓国の地へ。2年間プレーした後、再びNPBへ帰ってくるという特殊なケースになる。

 KBOでシーズン48発をマークしてロッテに加入したナバーロは、オープン戦でもいきなり2試合連続本塁打を放つなど期待を膨らませたが、その直後に空港での荷物検査で拳銃の実弾を持っていたことが発覚。沖縄県警に逮捕されるという大騒動に発展した。その後は出場停止などの処分を受け、NPBデビューこそ飾ったものの、82試合の出場で打率.217・10本塁打という成績に留まり、1年で自由契約となった。

 また、阪神は2年前にロサリオという選手を獲得している。KBOでは2年連続で3割・30本・100打点をマークするなどの大暴れを見せていたが、NPBでは期待されたような結果を残すことができず。75試合の出場で本塁打は8本と期待を裏切る形で日本を去った。


バンデンハークが成功例


 では、投手はどうか。こちらも直近10年で振り返ってみよう。


【直近10年・KBOからNPBに移籍した選手】

<投手>
▼ ケルビン・ヒメネス
・2010年=斗山
27試(152.0回)14勝5敗 防3.32

・2011年=楽天
13試(63.1回)1勝7敗 防3.69


▼ クリス・セドン
・2013年=SK
30試(187回1/3) 14勝6敗 防2.98 ☆最多勝利

・2014年=巨人
10試(52.0回) 4勝5敗 防4.67


▼ リック・バンデンハーク
・2014年=サムスン
25試(152.2回)13勝4敗 防3.18 ☆最優秀防御率・最多奪三振(180)

・2015年=ソフトバンク
15試(93.0回) 9勝0敗 防2.52


▼ アンディ・バンヘッケン
・2015年=ネクセン
32試(196.0回) 15勝8敗 防3.62

・2016年=西武
10試(45.2回) 0勝4敗 防6.31


▼ デーブ・ハフ
・2017年=LG
19試(124.2回) 6勝4敗 防2.38

・2018年=ヤクルト
35試(94.1回) 3勝6敗7ホールド 防4.87


▼ エンジェル・サンチェス
・2019年=SK
28試(165.0回) 17勝5敗 防2.62

・2020年=巨人
???


 ここ10年の投手で言うと、バンデンハークの活躍ぶりが光る。

 韓国ではサムスン・ライオンズのエースとして2年間活躍し、2015年からソフトバンクに加入。1年目は故障で出遅れたものの、6月の交流戦で来日初登板を初勝利で飾ると、そのままシーズン負けなしの9勝。チームのリーグ制覇、日本一に貢献すると、翌年も開幕から勝利を重ね、初登板からの連勝を「14」まで伸ばす。かつての巨人のエース・堀内恒夫が持っていた初登板からの連勝記録(=13)を50年ぶりに更新した。

 しかし、この他で言うと、最多勝の看板を背負って巨人に加入したセドンや、2014年にシーズン20勝という実績を残したバンヘッケンといったところは、日本で期待に応えるはたらきができていない。野手同様、苦しんだ選手の方が多い印象となっている。


 阪神はサンズ、巨人はサンチェス…。韓国からやってきた2人は首脳陣の期待に応え、チームの弱点を埋めることができるか。実戦も増えてくる今後の動向を要チェックだ。


文=尾崎直也
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