スポーツギフティングサービス『Unlim（アンリム）』が始動

　株式会社ミクシィと一般財団法人アスリートフラッグ財団は5日、プロスポーツクラブやアスリートを新しい形で支援するスポーツギフティングサービス『Unlim（アンリム）』を2月19日（水）からスタートすることを発表。発表会見に登壇した里崎智也氏は「大きな可能性を感じる面白い試み」と今後の発展に期待を寄せた。

　『Unlim』は、好きなスポーツクラブやアスリートにファン個人が寄付を行うことができるサービス。スポーツ界では、アスリートが「競技を続けたい」「レベルアップしたい」という思いがあっても資金面で断念せざるを得なかったり、引退後のセカンドキャリアに大きな不安を持っていたりするケースが多く散見される。アスリートにはそんな不安を取り除き競技に集中してもらうこと、ファンには観戦だけではない新しい応援の形を提供することを目的としている。

ミクシィ社長が語る『Unlim』への想い

　サービス開始に先駆けて行われた株式会社ミクシィと一般財団法人アスリートフラッグ財団による発表記者会見には、株式会社ミクシィ代表取締役社長の木村弘毅氏、一般財団法人アスリートフラッグ財団の理事を務める島田慎二氏に加え、元プロ野球・ロッテの里崎智也氏、プロボクサーの村田諒太が登壇。木村社長は『Unlim』立ち上げの経緯について以下のように語った。

「私はスポーツほど多くの人を元気にできるものはないと考えている。昨年のラグビーワールドカップを見て、それを再認識した。しかし、スポーツの現場ではスポーツクラブやアスリートの活動資金が大きな問題となっている」

「クラブの財政は遠征費や運営費で常に圧迫されている。また、アスリートはプロを目指して努力していても、経済的な理由で断念せざるを得ないというケースが見受けられる。『Unlim』とその運営団体の一般財団法人アスリートフラッグ財団は、そんな状況を少しでも改善したいという思いで立ち上げました」

スポーツのプロが感じる“資金的課題”

　会見は、登壇したプロスポーツ関係者それぞれが感じる現場での資金的課題の話題となり、里崎智也氏は昨今のプロ野球界の情勢を引き合いに、ファンの応援の在り方にも変化が必要であると主張。その試金石として『Unlim』に期待を寄せた。

「プロ野球では近年、資金力のある球団とそうでない球団の力の差が順位に如実に影響している。ファンの応援がこの差を埋めるのは現状ではほぼ不可能。スタジアムに行く、グッズを買うだけでなく、もっと直接的な支援ができるシステムがあれば、球団間の競争も熾烈になるはず」

「それに、最近は球団数の増加を求める声がファンからよく聞かれる。しかし、これからはファンも意見を言うだけではなく、その実現のために実際に行動を起こしていくべき。球団を増やすにも資金は必要。『Unlim』の仕組みを使えば、それも可能になるかもしれない」

　また、Bリーグ（バスケットボール）千葉ジェッツふなばしの代表取締役会長も務める島田氏は以下のように語り、クラブチーム運営の厳しい実情を明かした。

「クラブチームは、主にチケット売上、ファンクラブ会費、グッズ売上などが収入源となりますが、それだけでは立ちいかないのが実情です。これからのクラブ運営は、全く新しい方法でマネタイズしてくことが必須。その意味で、この『Unlim』は素晴らしい取り組みだと感じている。競技成績が振るわないクラブ、なかなか日の目を見ない選手たちのためにも、『Unlim』が軌道に乗ることを切に願っています」


　さらに、 プロボクサーの村田諒太もプロアスリートの新たな収益構造構築の必要性を訴えた。

「これまでボクシングをやってきて、『自分より才能があるな』と感じたボクサーはたくさんいる。そんなボクサーも、チャンピオンにはなかなかなれない。なぜかというと、資金的な問題でボクシング自体を続けられないから。1試合でもらえるファイトマネーは5～10万円程度で、1年間で実施できる試合は数試合。才能のあるボクサーが、ボクシングを続けられるような仕組み作りが必要です」

アスリート・クラブへの応援方法

　ファンは、『Unlim』公式サイト上でひいきのアスリートまたはクラブチームを選び、「ギフティングする」「シェアをして仲間を集める」の2つの方法で応援することができる。

　「ギフティング」を選択した場合は、金額を自由に設定してアスリートフラッグ財団に寄付し、アスリートフラッグ財団から付与された応援ポイントをアスリート・クラブチームに贈ることが可能。寄付した金額の67～83％がアスリート・クラブチームに配分される。

　「シェアをして仲間を集める」を選択した場合は、個人のSNSアカウントでシェアすることができ、自分がシェアした先で何回ギフティングが行われたかを把握できる。

　さらに、『Unlim』は様々なスポーツ系ウェブメディアとの協業を予定。各協業メディア内の『Unlim』登録のアスリート・クラブチームに関連する記事に設置された「Unlimボタン」をタップすることでも応援が可能となる。なお、協業メディアのラインアップは後日『Unlim』公式サイトで発表されるとのこと。

登録予定アスリート・クラブチーム

※50音順　※2月5日時点
【アスリート】
・太田宏介（名古屋グランパス）
・西藤俊哉 （フェンシングフルーレ）
・髙梨沙羅 （女子スキージャンプ）
・寺地拳四朗 （プロボクサー）
・中村未優 （女子レスリング）
・畠山健介 （MLR・ニューイングランド・フリージャックス）
・星　翔太 （F リーグ・名古屋オーシャンズ）
・堀米雄斗 （スケートボード選手）
・三宅　諒 （フェンシングフルーレ）
・森重真人 （FC東京）

【クラブチーム】
・FC 東京 （Jリーグ）
・千葉ジェッツふなばし（Bリーグ）
・栃木ゴールデンブレーブス（プロ野球独立リーグ）
・ひがし北海道クレインズ（アジアリーグアイスホッケー）
・ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ（スーパーラグビー）