ロッテの唐川侑己[撮影日=2020年2月7日]

 昨季チームトップタイの8勝を挙げた種市篤暉をはじめ、二木康太、岩下大輝、佐々木千隼、小島和哉、さらにはドラフト1位で入団した最速163キロ右腕・佐々木朗希と楽しみな若手が多いロッテの投手陣。ただ1年間の長いシーズンを戦っていくためには若手の頑張りだけでなく、中堅、ベテランの活躍も絶対に必要になってくる。今季プロ13年目を迎える唐川侑己も、そのひとりだろう。

 カットボールを投球の主体にした18年夏場以降、リリーフで存在感を示し、同年リリーフでの登板成績は21試合に登板して、防御率は驚異の0.36をマークした。昨季はシーズン通して、リリーフで過ごし自己最多の40試合に登板。無失点に抑えても、突如大量失点する試合もあったため、防御率は5.26だったが、安定した投球を見せることが多かった。

 昨秋には「体をしっかり整えてというか、偏った動きばかりしているので、体の状態をよくして来季に繋げていけるようにと思って今はやっています」と自主トレのテーマを掲げていた唐川。

 7日に行ったブルペンでの投球練習をみると、昨年はセットポジションから投球していたが、「体の体幹部分を大きく使いたいというのがあって、そっちからの方がその意識が入りやすいからですね」とノーワインドアップで投げていた。

 偏った動きばかりしているので、体の状態をよくしたいことが、関係しているのかと聞くと、唐川は「そうですね。オフシーズンの間はその意識というか、体をうまく使えるような意識で取り組んでいたので、その延長線上ですね」と明かした。

 昨季まではカットボールを中心に投げていたが、事あるごとに「そういう決意をしたわけではないですけどね」と話していた。その言葉通り、昨年の秋の時点では「う〜ん、まだそれはわからないですね」とカットボールを中心で投げていくか、ストレートを投げていく投球にするのか模索していた。

 そして、この日のブルペンではストレートを多く投げ込んだ。今季はストレートとカットボールの両方投げていく予定だという。唐川のストレートといえば、伸びのあるきれいなボール。新人時代には、そのストレートが浮き上がっているようにも見えた。「初速と終速の差をなくしたいというのはありますし、そこを目指して体の使い方であったり、イメージを意識しています」。今も当時のようなストレートを投げたいという思いを持っている。

 だからこそ、気になったのがカットボールを主体にしていた昨季までの投球。本人は「秘密です」と多くを語らなかったが、これまでの取材で唐川のコメントを振り返ると、「1イニングだけなので、自分の自信のあるボールを投げている感じです」と話していた。リリーフで自信のあるボールを中心にした結果、カットボールを主体にした投球になったということなのだろう。

 変化球も昨季は、カットボール、スプリット、スライダー、カーブを中心に投げていたが、この日のブルペンでは「いろいろやりながらという感じです」とチェンジアップも投げ込んでいた。チェンジアップに関しては、「こればっかりは実際に投げてみないとわからない。実戦で投げる機会があれば試していきたいです」とのことだ。

 そして、今季は昨季までのリリーフではなく、「今年は先発です」と現時点では先発に挑戦していくと本人は口にする。「年齢とか関係なく、競争なので、その意識でしっかり競争に勝つつもりでやることが大事かなと思います」と闘志を燃やした。

 「結果はあとからついてくるものだと思うので、まずはしっかり自分のやりたいことを確立して、それを1年間通してやっていけたらと思います」。リリーフで1イニングを少ない球数でピシャッと抑える唐川も良かったが、まっさらなマウンドで、背番号『19』が躍動する姿を見たいと思うマリーンズファンも多いはず。2020年、進化した姿をマリンスタジアムで数多く見せて欲しいところだ。

取材・文=岩下雄太

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