3年目・塩見は一軍で結果を残せるか
沖縄・浦添市で行われているヤクルトの春季キャンプ。注目ポイントの一つとして挙げられるのが、バレンティンが抜けた外野のレギュラー争いだ。今季キャプテンに就任した青木宣親、雄平のベテラン2人に続く外野の一枠を争う戦いが展開していく。
バレンティンはヤクルト在籍9年間で30本塁打以上が8回、13年にはシーズン60本塁打の日本記録も達成した。長らく4番を務めてきた主砲の退団は大きいが、若い選手にとっては大きなチャンスでもある。
高津臣吾監督も「レギュラークラス以外の人はどんどんアピールして、そこに割って入って今までやってきた成果を出してほしい」と語り、キャンプ中の練習試合やオープン戦を通じて、レギュラー獲りを狙う選手は必死に結果を出すことが求められる。
まずは12日、韓国・サムスンとの練習試合(浦添)で3年目・塩見泰隆の活躍が光った。7回一死満塁での決勝打を含む3打席連続の適時打を放ち、チームは10-5と勝利。今季初の実戦で勝利の立役者となった。
塩見の武器は打撃だけではない。「すぐに(スタートが)切れたので良かった」と、この日1盗塁を決めると、「やっぱり僕の持ち味は走力なので、一つでも先の塁を狙うという走塁の意識をもって、しっかりやっていきたいと思います」と、走塁でも積極的にアピールし、存在感を示す。
昨季はオープン戦で打率.385、盗塁も12個と活躍したものの、シーズンに入ると45試合の出場で打率.182と結果を残せずに終わってしまった。それだけに「今年はあまり打ち過ぎないようにやっていきたいなと思います」と話した塩見だが、外野のレギュラーをつかむためには「ガンガン積極的にアピールしていく立場」ということを忘れてはいない。
今キャンプ中、視察に訪れた侍ジャパンの稲葉篤紀監督からも評価された逸材。「競争なので、そこに勝ってなんとかレギュラーをつかめるように頑張っていこうと思います」と決意をにじませ、今季は一軍の公式戦でもしっかりと結果を残す。
ベテラン坂口、2年目の中山らライバル多い
今後はさらにライバル争いが過熱するはずだ。実績十分のベテラン・坂口智隆もその中の一人。昨季は開幕3戦目の阪神戦(京セラ)で死球を受けて左手の親指を骨折。出場22試合で打率.125と不本意な成績で終えただけに、雪辱を期すシーズンとなる。
18年に坂口は主に1番に座って打率.317をマーク。ポジションは一塁と外野の併用となったが、オリックス時代は4年連続でゴールデングラブ賞を獲得した外野の名手でもある。昨季ブレイクした村上宗隆が三塁の守備に就くことになれば、坂口の一塁手も考えられるが、慣れ親しんだ外野でのレギュラー奪取へ、プロ18年目の男が燃えている。
2年目の中山翔太も、外野の一角を狙う。「3割打ってホームランも30本打てるような、そういう選手になっていきたい」と語っている将来の主軸候補は、昨季35試合に出場して打率.289、5本塁打、14打点の成績を挙げ、今季はさらなる成長が期待される。初の一軍キャンプに参加し、レギュラー獲りへ向けて汗を流している。
その他にも、今季5年目を迎える山崎晃大朗や、高卒2年目で一軍キャンプに帯同している濱田太貴もいる。山崎は俊足が持ち味の26歳。走塁と守備に加え、打撃でもアピールできればレギュラーの座を奪う可能性は十分にある。一方の濱田は、昨季は2試合で無安打ながら一軍の舞台を経験した19歳。台湾で行われたウインターリーグにも派遣されるなど、今後の成長が期待される右打者だ。将来的には村上と共に左右のクリーンアップ形成にも期待がかかる。
高津新監督の下、最下位からの巻き返しを図るヤクルト。今季を占う意味でも、一枠空いた外野のポジション争いは重要なカギを握っているといえそうだ。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)