“亡命報道”から2カ月…
ソフトバンクは19日、オスカー・コラス選手(21)について、野球協約第60条(2)に基づき、NPBコミッショナー宛に「制限選手」申請を行い受理されたことを発表。NPBは同日にコラスを「制限選手」として公示した。
コラスは2017年に育成契約でソフトバンクに加入。2019年に支配下登録を勝ち取ると、8月には一軍初打席で初本塁打というド派手なデビューを飾っていた。
しかし、さらなるブレイクが期待された2020年、思わぬ一報が飛び込んでくる。1月にアメリカのメディアが「MLB移籍を目指しキューバから亡命した」と報道。同郷の同僚であるジュリスベル・グラシアルやアルフレド・デスパイネらが契約を更新するなか、コラスだけは一向に音沙汰がない状態が続き、今春の宮崎キャンプにも参加していなかった。
ソフトバンクの三笠取締役・GMは球団を通じて「来日してホークスでプレーする目途が立っていないため、野球協約上の『選手が個人的理由により野球活動を休止する場合』に該当すると判断し、『制限選手』としてコミッショナーに申請し本日受理、公示となりました。コラス選手とは、協議に応じるようアプローチを続けたいと考えています」とコメントを発表。引き続き、コラスとのコンタクトを試みる姿勢を示している。
今後の展開は?
あまり聞き慣れない「制限選手」という言葉。結局、コラスの去就はどうなるのだろうか…?
過去の例を振り返ると、東日本大震災が起きた2011年に当時DeNAのブレント・リーチ投手と、巨人に所属していたブライアン・バニスター投手が来日を拒否。この時に「制限選手」として公示された例がある。
リーチは再来日の意思を示して7月にDeNAに復帰したが、バニスターはそのまま引退。巨人の任意引退選手として公示され、現役生活を終えている。
また、今回のコラスのケースにもっとも近いと思われるのが、2015年に「制限選手」となっていたルルデス・グリエルJr.のケースだろう。
2015年のシーズンを前に、兄ユリエスキ・グリエル(現アストロズ)とともに故障を理由に来日を拒否。兄ユリエスキはそのまま自由契約に、弟ルルデスはDeNA復帰の可能性を残した「制限選手」として公示された。
しかし、ルルデスも15年12月に自由契約選手として公示され退団。約1年後の16年11月にブルージェイズと契約し、現在も同球団でプレーしている。
コラスはメジャー移籍を目指し“亡命”という強硬策に踏み切ったようだが、あくまで選手の保有権はソフトバンクにある。今後は球団と話し合いの場を持って復帰を模索するか、解雇(自由契約)されるか。グリエル兄弟のケースを振り返れば、自由契約の先に“MLB移籍”が見えているようだが、それも球団の判断次第だ。
どちらにしても、今後の進展に注目が集まる。
プロフィール
▼ オスカー・コラス
守備位置:外野手、内野手
投 打:左投左打
身長体重:186センチ・95キロ
生年月日:1998年9月17日(21歳)
[2019年一軍成績]
7試 打率.278(18-5)1本塁打 2打点
出塁率.381 長打率.444 OPS.825
[2019年二軍成績]
66試 打率.302(252-76)11本塁打 46打点
出塁率.350 長打率.516 OPS.866