2020.02.22 13:00 | ||||
東京ヤクルトスワローズ | 6 | 終了 | 7 | 広島東洋カープ |
浦添 |
三振奪取率が魅力、18年2位の立役者
ヤクルトの中尾輝投手(25)が22日、オープン戦初登板となった広島戦(沖縄・浦添)で、圧巻の火消しを披露した。
思わぬ場面でのオープン戦初登板だった。本来なら8回頭からの登板予定だったが、3番手で2イニングを消化する予定だったドラフト3位右腕・杉山が、1回0/3を投げ6失点と大炎上。チームは6-7と逆転を許し、なおも無死二、三塁の大ピンチで中尾をマウンドに送った。
「1点負けている状況で、しかも相手は押せ押せムード。追い込んだら絶対に三振を取ってやろうと。腕をしっかり振って(ストライク)ゾーン内で勝負できました」
左腕は冷静だった。先頭の高橋大、続く正随に対し、相手が打ち気マンマンの中でいずれも初球、変化球で見逃しストライクを奪った。高橋大には追い込んでからの真っ直ぐを上手く合わされたものの、これは遊撃正面のライナー。正随には追い込んでからフォークを振らせ、狙い通り三振を奪った。
二死まで漕ぎつけ、続くルーキーの宇草に対しては、初球、真っ直ぐでストライク。2球目のスライダーであっという間に追い込み、最後も低めのスライダーを振らせ連続三振に仕留めた。無死二、三塁の大ピンチで登板し、1点も与えぬ圧巻の火消し。中尾にとっては最高のアピールになった。
入団2年目の2018年に、54試合の登板で7勝3敗、防御率3.50をマーク。奪三振率も9.33を誇り、チーム2位の原動力になった。昨季は12試合の登板で防御率8.36だったものの奪三振率は11.57。今年は制球力に磨きがかかり、「真っ直ぐで思った通りファウルを取れているし、変化球も思ったところに投げられて優位なカウントを作れている」。15日の楽天戦(沖縄・金武)でも2三振含む1回完全投球を披露するなど、実戦の中で好投を重ねている。
「2年前だけ、とは思われたくない」――。背番号13が再び輝きを取り戻せば、高津ヤクルトのブルペンはより強固になる。
取材・文=上村祐作